日本経済新聞の報道によれば、ドイツの大手保険会社アリアンツが、日本国内で不動産投資を拡大するようです。
投資金額は2200億円で、投資対象となるのは東京、大阪、名古屋、福岡の賃貸マンションです。大都市は地方からの人口流入が続き、将来も安定した賃貸需要が期待できる有望な投資対象とみているようです。
アリアンツは、すでに国内不動産に2000億円投資を行っており、これから2〜3年で投資残高を倍増させる計画です。
都市部の賃貸用居住物件と言えば、日本の個人投資家がワンルームマンションや一棟ものに投資を行っています。
外資系保険会社という機関投資家がそのマーケットに本格参入してくることで、購入需要がさらに高まり、物件取得競争が激化していくことになります。他の金融機関も運用難であることは同じですから、追随する動きがあるかもしれません。
アリアンツが日本国内の不動産で注目しているのは利回りの相対的な高さです。また、日本の借り入れ金利は上昇懸念が低く、他の資産に比べ投資妙味があるとの判断です。
投資対象のリターンを考える際、多くの個人投資家は過去の利回りとの比較をしがちです。
例えば、国内不動産も以前は中古ワンルームマンションで6%以上の物件が珍しくありませんでした。しかし、今では中古ワンルームマンションのネット利回りは4%前後まで低下しています。
しかし、以前より利回りが下がったから投資をやめるというのは、賢明な判断ではありません。
比較すべきは、過去の同じ投資対象のリターンではなく、現在において投資が可能な他の投資対象です。それらとのリスクを勘案したリターンから相対的に有利と思われるものを選択していくのが、正しい投資の判断プロセスです。
お金を借りられる人にとっては、現在の投資環境で居住用不動産を超える安定したリターンを狙える投資対象を見つけることはほぼ不可能です。
機関投資家が本格参入する日本国内の居住用不動産のマーケット動向がこれからどうなるか。既に投資している投資家として、これからの価格動向に注目していきたいと思います。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年12月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。