借りたお金を返さなくても許される「第3の方法」

日本経済新聞電子版によれば、IMF(国際通貨基金)の試算で、日本の政府債務のGDP比は2021年時点で256.9%。これは、新興国を含めてた世界187カ国で最悪の水準です。

政府債務を返済する方法は3つしかありません。

そのうちの、財政支出を減らす、増税による税収を増やすという2つの方法は、もう選択肢にはなり得ないと思います。

財政支出は、政権の目先の人気取りには最も効果的です。お金をバラまいてもらうのが嫌だという人はほとんどいないからです。給付金の支給にしても、どのような方法にすべきかや、誰を対象にすべきかという議論は激しく行われていますが、「そもそも給付金を出すべきなのか」という議論はほとんどありません。

生活困難者が政府のサポートを必要としていることは事実ですが、財政赤字の拡大によるマイナス面の検証を行った上で判断すべきことです。

増税による税収アップも正面から進めることはできません。景気への悪影響や内閣支持率に対するマイナスの影響があるからです。

所得税の控除枠を減らしたり、社会保障費用の負担を高める「隠れ増税」は行われていますが、限界があります。

Igor Kutyaev/iStock

となると、残りの選択肢は3つ目の「インフレ」しかありません。法定通貨価値が下落することで、政府債務を実質的に圧縮する方法です。

今や「インフレになるかならないか」を議論するレベルではなく「インフレにいつ、どのくらいなるのか」という前提で、これからの資産運用を考えるべき時期に来ています。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年12月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。