2021年の皇室では小室夫妻ばかり語られたが、私はもっと心配だったり議論したりすべき問題があると思う。
小室問題は、野田佳彦内閣時代に検討された女性宮家というような愚劣な案を実施に移さなかったので、小室氏を皇室に入れない、お付き合いも遠慮してもらう、一時金を税金から出してダメンズを養うようなことが避けられたのだから、まずは良かったのである。
そういうけじめを秋篠宮殿下と小室眞子さんがとられたことを歓迎している。宮内庁や外務省がおせっかいなことをして、せっかくのけじめを台無しにしなければ良いことである。
一方、皇室を巡っては、ひどく心配なことがいろいろあるのに、マスコミも論じないし、国民のほとんどはそれに気付かず、脳天気な報道ばかりだ。
そこで、あえて、昨年の皇室10大ニュースというかたちで、皇室が直面している危機的状況について警鐘をならしたい。なお、順序は重要性でなく、理解がしやすいように、関連が強いものが続くように並べている。
(1)皇室の公務は最低限しか行われず低調に終わる
両陛下をはじめとする皇室の方々の公務はほとんどがリモートで行われ、コロナ患者や施設の視察もなかった。菅・岸田両首相も医療施設や教育現場など視察をしているのと比べても目立つ。平成の皇室ならこんなことはなかったはずだ。平成流がよいとはいわないが、ちょっと極端でないか。
(2)東京五輪・パラリンピックに皇室は不在に近く皇室外交に痛手
東京五輪・パラリンピックに陛下だけが出席されて開会宣言をされたが、他の皇族の出席も、競技観戦もなく、VIPにも何人かだけ皇居で謁見を許されただけに終わった(潘基文元国連事務総長とだけ単独会談)。皇室外交は絶好のチャンスを逃した。
(3)医師団が雅子妃のお身体の不調は改善しないと発表
お誕生日に医師団は皇后陛下の状況を説明し無理は禁物といっているのにほとんど報道されず。そういう状況を前提にすれば、国民に説明して無理がない範囲で公務を行うスタイルにすべきなのである。国民が美智子さまのような濃密でストイックなスタイルを期待されても困るし、皇后陛下の体調不良が海外訪問など陛下の公務を制約しないように対策を講じる必要もある。
(4)愛子様は2021年には一度も登校されず
今年はリモートのみで対応され、いちども学習院大学に登校されなかったようだが、これは皇族としても一人の女性としての成長のためにも適切でないし気の毒だ。また、登校もされてないのに「学業が多忙なので」という理由で成人にあたっての記者会見を延期されたが、決まったときにするべきことをするのは、皇族にとってとても大事なことだ。
(5)五輪開催についての拝察発言は立憲君主制にあって暴挙
宮内庁長官が、陛下がコロナ下での五輪開催を危惧されているという「拝察発言」を東京都議会選挙の直前に行い、選挙結果にも影響が出たのは、現在の憲法における象徴天皇制でなくとも、立憲君主制の下では論外で、戦前の日本やタイのような国ですら許されないし、ヨーロッパでは君主の発言や意向と言われるものが選挙結果に影響を与えるのはタブーだ。
(6)眞子さんと小室氏が異例の形で結婚
眞子さまが小室圭氏と結婚されたが、納采の儀、結婚式、披露宴、夫妻揃っての謁見など行われず、一時金も受け取られず。私はこれは秋篠宮殿下が、不本意な結婚であるが、婚姻の自由がある以上はダメとは言えないなかで、けじめを付けられたものとして評価している。
(7)眞子さん記者会見で誹謗中傷を批判
眞子様は結婚への反対論について事実と違うと批判し、佳子様は誹謗中傷と仰ったが、なされている指摘はほとんど事実に基づいたもので、誹謗中傷とはいえないわけで、不適切な発言だった。国民を批判するならテレビにでも出て好意的でないキャスターなどと対決するくらいの覚悟が必要だ。
(8)小室夫妻に対して公的機関の忖度と援助が続く
小室夫妻はニューヨークに移住したが、宮内庁や政府機関が多大な予算を消費しながら、二人の渡米や生活を助けたのは、殿下のけじめとは対照的で、適切さを欠いていた。また、おおおくの人が心配していたとおり、小室氏は司法試験に合格せず、甘い見通しを殿下にも報告していたとみられることでも宮内庁の責任は大きい。
(9)英国のエジンバラ公フィリップ殿下が崩御
コロナ禍のために両陛下などの葬儀出席はできなかったが、もし、可能だったら両陛下の出席は可能だったかという問題もあり、皇室外交についての方針を決めるべきだ。
(10)皇位継承につき旧宮家にも門戸が開かれる
旧宮家の男系男子の皇籍復帰案などをまとめた政府有識者会議の報告書が出され、安定的な男系男子継承を選択肢とする道筋が示された。