恩田家の『ALS』マネジメント論

オンラインセミナーで元スターバックスのCEOが理想的な組織を次のように表現してました。

  • 本質において一致
  • 行動において自由
  • 全てにおいて信頼

やっぱり言語化って大切だと改めて思い知らされました。マネジメントを生業としてきた身としては、ここまでシンプルにまとめられると参りましたと言うしかありません。そしてこのわずか3行を実行するのがどれだけ難しいかも経験から良くわかっています。

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しかしこの3行を体現している組織を身近に見つけました。我が家族です。私がALSで完全他人介護を実践する中でこれがなされてると思いました。

本質において一致

家族の本質はお互いへの愛情に尽きると思います。そして夫婦としては子供最優先で一致しています。ALSは関係なく私は父親でかつ夫です。それを妻と子供たちがきちんと認識して、私がその役割に向き合っている限り、本質において一致は崩れないと思います。

行動において自由

完全他人介護と書いたように私の家族は一切私の介護はしません。家族同居で日本の常識ではあり得ない体制を貫いています。それはつまり24時間365日他人(ヘルパーさん・看護師さん)が自宅にいることを意味します。プライバシーはありません。しかしそれと引き換えに自由を得てます。もし妻が私を介護している時間に子供が怪我をしたら誰が病院に連れて行くのでしょうか?私自身の外出や仕事の予定も原則ヘルパーさんで完結するようにしてます。こうして我々家族はお互いの行動の自由を担保しています。

全てにおいて信頼

完全他人介護のシステムは全てを信頼する覚悟のもとしか機能しません。私がヘルパーさんや看護師さんらを信頼する以上に家族も信頼しないと成り立ちません。逆を言えば介護者からも私を含めた恩田家を信頼してもらう必要があります。完全他人介護は完全に他人に命を預けるのです。我々は半端な覚悟ではやってません。普通の組織では命はかけませんからね。チーム恩田を機能させるためにそれぞれが断固した覚悟でそれぞれを信頼しています。

恩田家とチーム恩田はいい組織になっています。


この記事は、株式会社まんまる笑店代表取締役社長、恩田聖敬氏(岐阜フットボールクラブ元社長)のブログ「ALSと共に生きる恩田聖敬のブログ」2022年1月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。