「食べログの点数」の算出方法は一般開示すべきか?

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焼き肉チェーン店「KollaBo(コラボ)」を運営する会社が、グルメサイト食べログの評価が、アルゴリズムの変更によって21店舗中19店舗で平均3.24点から3.09点になり、来客数が月5000人以上落ち込んだ賠償として約6億4000万円の支払いを求めて提訴したそうです。

食べログの点数が3点台前半でも、わずか0.15点下がるだけで、そこまで来店数や利益が減ると主張することにも驚きました。アルゴリズムの開示については、地裁の見解に基づき原告には開示したそうです。ただし、第3者に対する閲覧制限が認められ、一般には明らかにされていません。営業秘密に当たるというのがその理由のようです。

裁判を起こした原告には開示するのに、他の飲食店や一般の利用者には開示しないというのは、何とも不思議なことです。アルゴリズムの開示は、不正行為の原因になると食べログは主張しているようですが、開示しなければ不正行為が無くなる訳ではありません。むしろ、食べログ側の不正という疑念を持つ人が増えるだけだと思います。

食べログと飲食店が共存するのではなく、対立的な関係になるのは、飲食店側のお店の評価に対する不信感があるからだと思います。

2020年の調査によると、飲食店の来店客の約83%がグルメサイトの点数を参考に店選びをしていると回答。一方、有料会員になっている飲食店の約32%が点数に不満や疑問を感じるという結果になりました。

飲食店が有料会員になって、食べログに大量の広告を出すことによって、評価ポイントが高まるのではないかという疑惑は、アルゴリズムが開示されないと払拭されません。

食べログの検索結果の画面(画像をブログで見る)を見るとわかるように、一番左のランキングは「標準[PR店舗優先順]」と表記されています。これは、広告を出している店舗を優先して表示していることを意味します。つまり、これは評価ランキングではなく、単なる広告なのです。

その右に「ランキング」というタブがあり、こちらは食べログ側の評価に基づくスコア順の表示です。

しかし、ランキングの算出の際に本当に広告の出稿による影響が無いのかは、食べログ側の主張だけでは信用できません。

食べログは点数を鵜呑みにしてはいけません。

私は自分と好みが似ているレビュアーを見つけ、その人の投稿を参考にして店舗選びをするようにしています。評価点数が低いのに、お気に入りのレビュアーの評価が高い店舗が見つかれば、穴場のお店として最高です。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年1月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。