F15戦闘機に搭乗「日本国民はさらに自衛隊に感謝していい」

みなさま、こんばんは。数日前、宮崎の新田原基地にて、戦闘機F15に体験搭乗させて頂きました。もともと防衛政務官の時に予定していた視察が緊急事態宣言で延期されたものです。女性(政治家)で搭乗したのは小池ゆりこ元防衛大臣以来2人目とのこと。新田原基地は、2019年の9月に政務官に就任して一番最初に視察に行った思い出深い基地です。その時もF15に乗って写真は撮りましたが、写真を撮っただけで、空に上がったわけではありませんでしたので、今回、新田原で実際にF15に搭乗できたのは感慨深いものがありました。F15だろうとF2だろうと、戦闘機に乗るためには、たとえ後ろに乗せてもらうだけだとしても、地上6万フィートに行ったらどうなるのか座学と減圧訓練を受けて証明書をもらわなければなりません。

F15戦闘機(防衛省サイト:編集部)

まず、その模様をご報告する前に、声を大にして言いたいのは、「日本国民はもっと自衛隊に感謝していい」ということ。これが、私がF15に搭乗している最中、そして搭乗後、F15からようやく解放され地上に降りて真っ先に思ったことです。いやいや、もういつも感謝してるって、と思われる方は多いでしょう。普段からの私がその一人です。でも、この体験をした後は、もう一段も二段も感謝のレベルが上がりました。もう一つは、この体験はもうこれ1回だけでいいかなっていう。。。。

F15はマッハ2.5まで出る戦闘機。対戦闘機戦闘、いわゆるドッグファイトの訓練の体験搭乗です。F15には単座機と2人乗りの複座機があるのですが、私は、複座機の後部座席に乗せて頂きました。操縦してくださるのは航空自衛隊の精鋭パイロットAさん。また、適役の戦闘機も出動。

まず、重力対策がされているフライトスーツを着て、酸素マスクをつけて乗り込みます。フライトスーツは対G(重力)対策がされています。戦闘機での飛行では8Gまでも圧力がかかることがあります(地上は1G)。そうなると血液が下半身に偏ってしまうので、そうならないように足に圧をかける構造になっています。4.8万フィートまでも上がりますから、気圧が低すぎ酸素が少なくなりますので、酸素マスクは必須なのです。

晴天で絶好の飛行日和。F15に乗り込みますとさほど窮屈でもありません。まず、4000フィートあたりまで急上昇しますが、眼下に見える景色がどんどん小さくなり、宮崎の海岸線が美しく際立って見えます。機体も安定していてジェットコースターに乗っているような感じ。2万フィートぐらいまでの間は、ときどき4、5Gかけられましたが、特に苦しくもなく、「これなら大丈夫!私はいける」とまあ、割とご機嫌に思っていたのですけれど。。。それは甘かった。

今回、対戦闘機戦闘模擬ということで、遠くから近づく敵機を発見し迎撃するという設定での訓練で、上下回転したり、急旋回したりとなかなか大変でした。重力がきつすぎて、息をするのも大変な状況。結局、最大高度は4.8万フィート、重力は最大7.6Gぐらいだったそうで、パイロットのAさん曰く、「今日は大したことはありません」ということでしたが、正直「もうこれ以上は結構です」との心境。人生の中で、これほど、朝ごはんを食べてこなくて良かったと思った日はありませんでした(食べてたら絶対吐いてました)。人間が空洞のある物体だということをこれほど実感することもありません。体内にある水分が外に出ようとするんですね。まあ、キューピー人形を押したら、中にある空気や水が出ていこうとする感じを思い起こして頂くと想像できますでしょうか。私の場合、胃袋には何もなかったので良かったのですが、鼻水が出ていきました。重力がかかりすぎて頭も動かせません。地上で経験したことのない身体への圧力で背中に急に冷や汗が出たり、息を吸うためには、腹筋を使って体がつぶれないようにする必要もあります。もっと腹筋を鍛えておけば、とかいろいろなことを思いながら、途中からは、もうそろそろ終わりにして基地に帰りたいなーというヘタレそのものの心境でした。

戦闘機に乗るということは、地上ではありえない過酷な重力環境で任務を遂行することですが、とても常人のできることではありません。私なぞ息も絶え絶えにただ乗っているのが精一杯な中、敵機を発見して後ろに回り込み撃退の任務を軽々と遂行するAさんを後ろから見ながら、ここまで来るのにどれだけの訓練があったことだろうと思わずにはいられませんでした。また、戦闘機は一人では飛べません。整備をする方、管制官などなどチームワークでもあります。これら過酷な訓練と日々の鍛錬を行っている自衛官の皆様により日本の空は守られているのです。私は体験搭乗でしたが、その日も、中国機に対するスクランブルに出動している戦闘機もありました。地上何万フィートもの空で、空か海かの境目もわからなくなるような中で、肉体の限界に達しそうな重力環境で、一瞬の判断ミスが命取りになるそんな環境の中で、冷静かつ俊敏な判断と巧な操縦で敵機を見つけ排除するのです。

体験搭乗をしてみて、改めて、この任務をより安全に遂行するためには、敵機からより遠くから任務が遂行できるより高度な性能と装備が必要だと痛感しましたし、また、自衛官達が福利厚生含め安心して任務を遂行できる環境を作っていかねばならないと決意を新たにしました。

残念ながら、日本を取り巻く安全保障環境は悪化の一途を辿っています。中国軍は、戦闘機の質量とも大幅にアップグレードしています。今や、第4、5代戦闘機は中国が1000機を超える保有数であるのに対し、我が日本は300機。また、以前は操縦能力や士気について劣っているといわれていた中国空軍ですが、今は著しく技量も上げています。日本の自衛隊員は極めて能力も士気も高いと自負しますが、それでも、この彼我の質量における差異を埋める努力をしなければならないことは明白です。日本は日本自身の防衛力を抜本的に強化しなければなりません。

改めて、自衛隊員の皆様、日本の空を守ってくださって本当にありがとうございます。日本国民として心から御礼を申し上げます。そして、自衛隊が安心して任務遂行できるような環境作りに政治家として取り組んでまいります。


編集部より:このブログは参議院議員、松川るい氏(自由民主党、大阪選挙区)の公式ブログ 2021年1月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は、「松川るいが行く!」をご覧ください。