日本経済新聞電子版によれば、総務省による2021年の人口移動報告で、東京23区が2014年以降で初めて転入者より転出者が上回る人口流出になったそうです。
東京都全体では、まだ流入超ですが、流入超過数は前年より減っています。この傾向は、大阪や福岡などの他の大都市圏でも共通のようです。
東京から流出した人口は、北関東や、神奈川、山梨などに流れています。
確かに、リモートワークでも可能な仕事は、ある程度までは東京にいなくても対応できます。例えば、IT系の開発業務や、コンサルティングなどは、通勤とリモートワークのハイブリッドが最も効率的かもしれません。
社会人がどこに住むのかは、そこでどれだけ稼げるかによって決まります。東京23区になくても、充分稼げる仕事が得られるのであれば、東京に住む必要はありません。
しかし、いわゆるエッセンシャルワーカーと呼ばれる仕事は、ネットではなくリアルを中心に行うものです。また、飲食店などの接客業も、リモートで行う事はできません。
コロナ禍での自粛生活の長期化による飲食店などの接客業の休業が続き、雇用減少から東京でのこのような仕事が無くなり、仕方なく地元に戻るような動きが東京からの人口流出につながっています。
外国人も入国規制によって、海外からの留学生や労働者の来日がストップしています。これも、彼らの日本での主要な滞在先である東京23区の人口流入にマイナスの影響となっています。
これからいずれコロナ禍が収束し、今までの生活が戻ってくれば、都心でしかできない仕事を求めて、また多くの人が戻ってくるはずです。外国人の入国も再開されます。
また、もう1つ忘れてばいけないのは、都心に住むメリットは、通勤時間の短縮だけでは無いということです。
例えば、外国人にとっては、工場などが集積している特別な場所を別とすれば、都心部以外はインフラの面で不自由が多く居住地としての魅力が薄いのが現状です。また、特に単身者にとってば、24時間営業のコンビニや手軽に利用できる飲食店などのインフラが無いと不便です。
コロナ禍がいつどのような形で収束するかは予断を許しませんが、数年後に振り返れば、東京23区からの人口流出は一時的であったことに気がつく。希望的観測が入っているかもしれませんが、これが私の現時点での、東京23区のこれからの予測です。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。