アメックスの新カードの目的は優良顧客の囲い込み

私も愛用しているSPGアメックスカードが、今月から順次マリオットボンヴォイアメックスカードに切り替わると発表されました。

自動更新すると、新しい年会費は、今までの年34,100円からプレミアムカードの年49,500円に大幅に引き上げられます。

また、今までは無条件で付与されていた年1回の無料宿泊特典は、年間150万円以上の利用条件が付きました。SPGカードを保有すれば誰でももらえた最大の魅力が無くなってしまいました。

一方で、年間400万円以上の利用者には、マリオットホテルのプラチナエリートのステイタスが付与されるサービスが追加されました。

条件を満たすと、ウェルカムギフト、お部屋のアップグレード、レイトチェックアウト、朝食無料、クラブラウンジアクセスなどが付与されます。

該当条件のハードルは高いですが、ヘビーユーザーはメリットを感じるはずです。

今回の新しいカードへの移行は、ライトユーザーのタダ乗りを排除し、高額利用の優良顧客を囲い込むのが目的のように見えます。

クレジットカードや航空会社のマイレージプログラムには、裏技が存在します。ところが、大してカードも使わず、そのような抜け穴を使う人が増えて、収益面で放置できないレベルになってきたのだと思われます。

クレジットカードを高額利用する人は、他のカード会社にとっても魅力的な顧客です。

今後は、このような優良顧客の奪い合いが激しくなり、囲い込みのためのサービスが充実していく。その一方で収益に貢献しない顧客は、裏技を封じ込めるサービスの改悪によって、切り捨てられていくことでしょう。

いずれにしても、アメックスのSPGカードを保有している人は、自動更新で継続保有か、ダウングレードか、それとも解約かを決めなければいけません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年2月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。