緊迫のウクライナ情勢:各国は妥協策を探れ

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米政府が在ウクライナ米大使館の米国人職員のうち急ぎの任務がない者に国外退避命令を出す等、ロシアによるウクライナ侵攻の懸念が高まり事態は風雲急を告げており、今週が山場と言われている。

ロシア軍は10万人規模の部隊を西部国境に集結させる中、ウクライナ北方のベラルーシでも3万人規模を投入して合同軍事演習を開始している。

バイデンとプーチンは12日電話会談し、ウクライナ情勢を協議した。

ホワイトハウスによると、バイデンはロシアが軍事侵攻した場合、「米国は同盟国と共に断固として対応し、迅速で厳しい代償を負わせる」と、米欧による経済制裁の発動予告で牽制し警告をした。

両首脳は米露間の対話継続で一致したものの、バイデンはNATOの東方不拡大の確約を書面で求めているプーチンの要求を再び拒否したものと見られ両者の溝は埋まらなかった。

プーチンにとっては制裁は織り込み済みであり、本気で侵攻を考えているのなら、これで踏み止まる事はないだろう。

筆者には、米国、英国に紛争の勃発を煽っている一定勢力が居る疑念が拭えない。

ロシアと敵対すれば、欧州への天然ガスの供給を阻止し、EUが強大化するのを防ぐ事が出来る。また地域紛争に留まれば軍事産業は輸出で利益を得るだろう。

だが、世界にとっての真の脅威は中国である。しかしながら中国と正面から敵対すれば第一に巨大なマーケットを失う事になるので、損得勘定からそれは行わない。また米中が直接戦えば第三次世界大戦に繋がりかねず、核兵器が開発された先の大戦以降は流石にその選択肢は避ける。それだからこそのロシア敵視でもあり、これは真に巨大な敵から皆の目を逸らさせる効果もあるだろう。

<参考拙稿>
日本はロシア-NATO間を仲介し、ウクライナ台湾同時侵攻を防げ

日本はロシアーNATO間を仲介し、ウクライナ台湾同時侵攻を防げ
昨年12月30日、バイデンはプーチンと電話会談し、ウクライナ危機について話し合った。 プーチンは、NATOがウクライナを加盟させ中距離ミサイルを配備する事を国防上も威信上も何としても防ぎたい。そのためにウクライナ国境に兵力10...

民族問題が絡むものの、筆者は領土紛争、勢力圏争いは大変乱暴に言えば日本の江戸時代以前の土地争い水争いと本質的には変わらないと考える。即ち、そこには妥協の余地は有るだろうという事だ。

例えば「NATO東方拡大の20年間凍結」等で、NATOとロシアは妥協出来ぬものなのか?

米英を除けば、NATO側には飲める案と思われる。プーチンもメンツが立てば、「一時停戦」には乗る余地はあるのではないか。

ロシアのウクライナ侵攻、それに続く中国の台湾侵攻が起これば、西側のリソースは二正面に裂かれ、かつ中露疑似同盟により背後の憂いが除かれる事により、中国が世界覇権を握るシナリオも現実のものとなって来よう。

世界は今、自らの運命を決める歴史の岐路に立つ。各国リーダーには、地球規模の大局観と500年単位の歴史観が求められよう