ウクライナ問題で大きな話題となっているのが海外送金システム、SWIFTからロシアの銀行の排除を決めたとの報道です。
SWIFTってそもそも何、と思う方も多いでしょう。一言で言えば海外送金のシステムで現在、地球上の大多数の銀行を介した国際送金はこのシステムに乗っています。しかも多くの場合が米ドル決済となるため、仮に第三国間決済でもアメリカ経由で送金が廻ることが多くなります。
ここからロシアの銀行が排除されたらどうなるか、といえばロシアの銀行での送金も着金もシステム経由で出来なくなります。では方法がないのか、といえば手動でメールなりでやり取りすることは物理的には可能ですが、信用の問題がありますから実質的に閉ざされるといってよいでしょう。
では本当にSWIFT制裁はロシアを縛り上げるのに効果があるのか、といえばYESでもありNOです。そして私は制裁によるダメージは西側諸国がはるかに大きくなる、とみています。つまり、天に向かって唾を吐くようなものなのです。
ロシアは資源を輸出して生計を立てています。その輸出代金をSWIFT送金で払ってもらえないならどうしますか?選択肢は4つあります。一つは上述の手動による送金、2つ目はSWIFTではないシステムを使う、3つ目は仮想通貨を使う、4つ目はロシア内の数多くある外国銀行を使うであります。このどれでもワークしないならロシアは「では販売を止める」というまでです。
2つ目のSWIFTではないシステムとは何か、といえば中国のCIPS(Cross Border Inter-bank Payments System)を使うのです。これは習近平氏がダメ、と言わない限り使えるわけでロシアは例えば中国元建てで決済できます。ちなみに日本の銀行も三菱UFJやみずほから千葉銀など地方銀行などかなりの数が参加しています。地球儀レベルでは世界100カ国以上、銀行数で1000行以上参加しています。つまりSWIFTがなくても中国元建てにしてしまえば機能するとみています。
3つ目の仮想通貨決済はロシアはお手のものでしょう。4つ目のロシア内にある規制を受けない外銀はかなりあるわけでSWIFT規制は実質的には究極的な規制にはならないとみています。
ではSWIFTをロシアから排除すると西側諸国はどうなるでしょうか?大きな問題を抱えることになるかもしれません。
1つ目がドルの基軸通貨が揺らぎ、中国元決済が飛躍的に伸びます。2つ目に仮想通貨決済も大きく伸びます。大事なのはSWIFTもドル基軸も反仮想通貨運動も全部ユダヤが背後にいる点です。SWIFTはロスチャイルド、ドル基軸はユダヤそのもの、仮想通貨普及で困るのもユダヤですのでSWIFTは絶対死守の体制のはずなのです。
2つ目に欧州企業が資源購入(石油、ガスなど)の決済が出来なくなり止められる可能性が出てしまいます。その場合、資源価格の狂乱が起きる可能性を全く排除できなくなります。先般、国連安保でロシア制裁についてロシアの拒否権でつぶれたのはご承知の通りだと思いますが、棄権した国が3つあります。中国、インド、サウジアラビアです。サウジはOPECプラスを介してロシアとはタッグマッチを組んで石油の供給と価格の調整機能を担っています。
原油価格が高騰する中、バイデン大統領はOPECに増産を求めていました。ロシアはどうするのか、といえばアメリカが苦しむなら(必要以上の)増産は受けないというでしょう。3月初めにOPECプラスの定例会議がありますが、その際、どういう結論を出すのか、少なくともサウジが国連安保で棄権したという事実からサウジもロシアも原油価格の更なる高騰を維持させる発想であるとみています。
地球はあらゆる形でつながっています。たった1カ国で全てを自給自足できる近代国家など存在しません。その中でマネーは血液であり、その流れを止めるというのは愚策であり、止められたら必ず別の流れを生み出すことは考えるまでもなく、容易にわかることです。
ニュースのヘッドラインを読む限りでは欧米諸国はSWIFT制限を経済制裁手段で使うというわけですが、それをすれば金融決済システム、ひいては金融そのものに極めて大きな構造変革をもたらす可能性があることをしっかり考えるべきでしょう。金融システムは政治や戦争解決の手段にすべきではないし、解決策にもならないと考えています。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年2月27日の記事より転載させていただきました。