黒坂岳央(くろさか たけを)です。
ロシアが米国による経済制裁を受けている。これにより、ルーブル通貨やロシアETFが大暴落した。その破壊力たるや、まさしく経済界における核兵器のように感じる。
恐ろしいのはそれだけではない。同国からは、次々とグローバル企業の撤退が相次ぎ、ロシアの一般市民にとっては「国家による制裁」に匹敵するような打撃を与えているのだ。
グローバル企業撤退で失われたロシアの日常
今回のウクライナ侵攻により、ロシアからはエネルギー、自動車、IT、映像、金融など様々な企業の撤退が相次いだ。ロシアの電車では、Apple PayやGoogle Payが使用できなくなったことでとてつもない大混雑となった。以下のツイートを見ることでその状況が把握できるだろう。
同国内では制裁や企業撤退を受けた理由について、正確な説明を自国民にしていないと見られる。だが、知識層ならそのような説明が誤りであることがたちどころに分かるだろう。世界で共同歩調的に企業撤退が続いているのは、客観的に見て国際社会からNOを突きつけられている何よりの状況証拠だからである。
もしも日本からグローバル企業が消えたら…?
これはありえないIF話で、想像もしなくはない話だ。仮に日本から世界のグローバル企業が相次いで、完全撤退すると?を想像してみよう。
まず、「情報」だ。現代における米国ITテックによるインターネットサービスは、社会インフラそのものとなっている。我々は日常的にわからないことがあれば、すぐにGoogle検索をしたり、YouTube動画で学ぶという行動をしている。都心部に住んでいる人なら、大雪や台風などで電車が遅延しているなら、Twitterでリアルタイムの速報を検索したことがある経験者もいるはずだ。
また、ほとんどの人が持っているスマホのOSはAppleとGoogleであり、これが使用不可になったり新機種が手に入らないと想像する世界は恐ろしい。スタバではコーヒーを飲めず、海外産の自動車も買えない。新作の映画は上映中止となり、ナイキのスニーカーも手に入らなくなる。
ただ不便になるだけならまだマシだ。企業撤退に伴って、職を失う人も続出するだろう。GoogleやAmazon、Microsoftのサービスがないだけでも、筆者の場合はまったく仕事ができなくなる。一夜にして失業する。直接的にせよ間接的にせよ、同じような打撃となる人もいるはずだ。
奪い取られた便利な日常への憤りは、当然政府の愚策に向けられる。とても世論は黙ってはいないだろう。そう考えると、件のもたらされた結果の原因は明らかに間違いだと言い切っていい。これほどの打撃を受けながら、尚も通すべき大義などないのは明らかである。
便利な日常生活はグローバル企業に支えられている
我々が当たり前のように送っている便利な日常は、グローバル企業に支えられている。それがなくなることの打撃の大きさ、対策の難しさは国家による制裁に匹敵する。
国家による制裁は外交で解決できる可能性は残されている。だが、ビジネスは外交以上に厳しい。問題が解決したとしても、「企業イメージ」「ビジネスの採算」でメリットがないと判断されてしまえば、お願いをしてももう戻ってきてくれなくなる。国家は「人」で支えられている。その人の教育や生活で遅れを取れば、これまでの勢いは永遠に削がれてしまいかねない。
グローバル時代に、グローバル企業からそっぽを向かれてしまう恐ろしさを、一連の侵攻を経て理解することになった。
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