橋下徹氏のウクライナ問題「中国にお土産」論への違和感

中国がロシア側の要請に応じて、ウクライナでの紛争支援に向けロシアに軍事的・経済的援助を行う意思を示したと米国が北大西洋条約機構(NATO)やアジア諸国の同盟国に伝えたことが、3月15日に報じられた。

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このニュースに接した元大阪府知事の橋下徹氏は、ツイッターで

「今のアメリカ・NATOの政治はおかしいで。中国をこっちに引き込まないとウクライナの被害が拡大する。中国に最初から制裁をちらつかせるなんて、学級委員政治の典型」

「今の中国は欧米の制裁に負けたというのを最も嫌がる。アヘン戦争の敗北の歴史からの脱却が原動力なんやから。中国をこっちに引き寄せるには、お願いかお土産が先やろ。制裁をちらつかせるのは最後の手段。こんな建前政治は、解決能力なし。ほんまアカン」(何れも3月15日)

と記し、欧米の国々の対応を批判した。

しかし、この橋下氏の論は正しいのであろうか?先ず、大前提として、一方的に他国(ウクライナ)に侵略したのは、ロシア(プーチン政権)である。そのプーチン政権に対し、中国は最初から、理解を示し、今後も協力していきたいとの意向を示している。

「中国をこっちに引き込まないとウクライナの被害が拡大する」と橋下氏は主張するが、そうではあるまい。最も被害が拡大するのは「中国がロシア側の要請に応じて、ウクライナでの紛争支援に向けロシアに軍事的・経済的援助を行う意思を示し」、それを実行することであろう。つまり、中国がロシアを支援しようとしていることこそ、先ずは非難するべきではないか。

そして、私が最も驚くのが、橋下氏が「中国をこっちに引き寄せるには、お願いかお土産が先やろ」と発言したことだ。何故、ウクライナ問題に関して、欧米が中国に「お土産」まで渡す必要があるのだろうか?具体的に「お土産」とは何なのであろうか?

橋下氏の一連の発言を聞いていたら、プーチンや習近平が歓喜の涙を流すような内容である。更に橋下氏は

「きれいごとばかり並べず、相手のメンツも立てて引き込むのが政治。中国が欧米の制裁に屈服すると思ったのか。制裁をちらつかせたなら、欧米は中国に二次制裁をやるのか。バイデン・NATO政治の最大の問題は覚悟もないのに脅しを使うこと。口だけ。中露に見透かされている。学級委員政治」(3月15日)とも述べている。

橋下氏は、欧米の国々の政治は「覚悟もない」「口だけ」というが、相互に連携し、かなり厳しい制裁をロシアに迅速に科しているし、武器供与までしている。

単なる「口だけ」ではない。「欧米は中国に二次制裁をやるのか」と橋下氏は言うが、時と場合によっては「やる」であろう。

それにしても、橋下氏の論の問題点は、欧米諸国が、中国にお願いか、お土産を渡せば「はい、欧米に従います」と思っているふしがあることだ。懇願し、お土産を渡せば、中国は表面上は「従います」と言うだろう。

しかし、裏では舌を出して、ロシアを支援することも十分考えられるし、そう思っていた方が良い。そうなると「お土産」をふんだくられて、終わりである。

これほど、間抜けなことはあるまい。典型的な「お花畑的政治外交」であろう。