昨日は3月としては例外的な冷え込みとなりました。東京都心部でも日中にみぞれのような雪が降り、真冬の寒さに逆戻りです。
そんな中、先週発生した東北地震による電力供給不足が重なり、東京電力や東北電力管内では「電力ひっ迫警報」が初めて出されました。
調べてみると、これは、あらゆる需給対策を踏まえても電力の予備率が3%を下回る場合に発出される警報だそうです。
電力会社は節電を呼びかけ、大企業は室内温度を下げ、照明を落とすなど電力消費を節約する体制をとり始めました。
節電により需要を減らし、需給を改善するのは悪いことではありません。しかし、本質的な問題解決のためには、脆弱な日本のエネルギー供給体制を抜本的に見直す必要があるのではないでしょうか。
原子力発電に関する議論は、東日本大震災以降止まったままです。石油などの化石燃料を使わない脱炭素化を進める中で、エネルギーの安定供給はどのように実現できるのか。
「節約」や「我慢」という需要の抑制で、問題を解決しようとするやり方は、なんだか滑稽に見えてきます。
最近問題になっているインフレへの対策でも、同じことを感じます。
物価の上昇に備えて、缶詰を買いだめしたり、安い材料で料理をするといった節約志向が目立ちます。確かに無駄を省き、工夫することも大切ですが、このような「節約」や「我慢」ではなく、物価上昇をカバーできるような収入の拡大を目指す攻めの対策が出てこないのが不思議です。
インフレになると思うなら、インフレに強い資産を持ち、お金を借りることです。普通預金に個人金融資産の50%以上を滞留させ、節約に励むのはピントがズレた行動パターンです。
日本人は「倹約は美徳」という考え方を強く持っています。だから、エネルギー不足や物価の上昇といった変化に対し、守りに入ってしまうのです。
このような思考を続ける限り、日本経済は縮小均衡していき、成長軌道に乗せることはできないでしょう。
もしかしたら、日本人の多くはこのまま経済的に衰退していくことを望んでいるのかもしれない。そんな風にも思えてきました。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年3月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。