今回の書評は、野田知佑(著)「少年記」です。
大学時代からずっと影響を受けていた、カヌーイストの野田知佑さんが2022年3月27日、病気のため徳島県の病院で84歳でお亡くなりになりました。
僕は大学では探検部に属していて、椎名誠さんのエッセーに魅了されていました。おそらく椎名さんのエッセーで当時千葉県の亀山湖におられた野田知佑さんを知ったと思います。そのころ読んだ「日本の川を旅する」や、「魚眼漫遊大雑記」に大いに感化されたことを思い出します。
特に後者は、高校生の頃に読んで大きく影響を受けた、小田実さんの「なんでも見てやろう」や、北杜夫さんの「どくとるマンボウ青春記」と似た匂いのする、僕にとってはインパクトのある本でした。
当時、敷かれたレールの上を走っていた「優等生」の僕は、野田さんのような自由な生き方、まるでムーミンに登場するスナフキンのような生き方に憧れていたのかもしれません。大学を一年休学して、オーストラリアへのワーキングホリディも含めた23カ国のバックパック旅行にいったのも、社会人となって北関東で毎週のように那珂川や久慈川の河原でキャンプしたりカヌーをやったりしたのも、安定した日立製作所での仕事をやめて採用されるアテもなくクイーンズランド大学のポスドク職に応募したのも、野田知佑さんの一連の本に感化されたことに起因するように思います。
野田さんの(2000年よりも前に出版された)ほとんどの本は持っていたと思っていました。読んだ記憶はあるのですが、「少年記」だけは僕の本棚に見当たりませんでした。そこで、今回「少年記」をキンドルで購入して再読しました。
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動画のノギタ教授は、豪州クイーンズランド大学・機械鉱山工学部内の日本スペリア電子材料製造研究センター(NS CMEM)で教授・センター長を務めています。