今回の知床観光船事故は、コロナ政策の失敗の結果であると思う。また無分別なロシア敵視政策の問題点を浮かび上がらせてもいる。以下、順を追って説明したい。
観光船事故とわが国のコロナ対策の関連とは
フランスのマクロン大統領が勝利した。これはワクチン接種を事実上、義務化するが、そのかわりに接種者に対しては、最大限の自由を保障し、経済活動の活発化を図るという政策を迅速に徹底したことによって、ヨーロッパの他の国に比べて被害を最小限に留め、人々の気持ちも明るくした成果だ。
日本ではゼロコロナ政策にこだわり、PCR真理教や反ワクチン・カルトに配慮しすぎ、実質的な影響と関係なく、影響自粛対象かどうかを基準にした休業補償に偏った補償をした。
こうした措置の弊害として私が当時から執拗に主張していたひとつが、料理飲食や観光業に休業補償をしても、人材や設備、技能の維持ができないということだった。
手厚い補償をしても、極端には、従前に近い収入があっても、優秀な人材は仕事がしたくて他の企業や業界に行ってしまう。また、休業したりほかの仕事したりしたら、技能は落ちる。また、設備だって使わずに放っておけば、故障したりしてしまう。
知床の観光船運航会社も離職が相次ぎ、技能や経験の低い人に任されていたようだ。また、破損や故障への対応も十分でなかったという。
だから、休業指令の対象になる業種に対してでなく、減収などに対する広汎な支援であるべきだし、補償目当てに休んだりしないようにすべきだし、動く人間が少ない割に落ちる金額が多いGoToキャンペーンは中断することなく継続すべきだった。
また、ワクチン・パスポートの制度を確立して、接種をしたくない人も含めて接種して感染率を上げるべきだった。接種者は感染する確率も低いし、たとえ感染しても重症化比率は低いのだから医療崩壊に繋がらないと割り切って、自由を与える政策であるべきだといってきたのだ。
ところが、ワクチン接種をしたくない人の不満を怖れて、そういう政策をとれず、現在でもおっかなびっくりの自粛が継続している。
そして、休業補償の仕組みも、自己所有物件、家族以外雇わず、もともと繁盛してない店に有利で、賃貸物件で、人を雇わず、繁盛している将来性のある店に不利益な仕組みだ。
その結果、細々と自宅で営業していた高齢者の主人などからは、「店を長期に閉めて、温泉旅行に行けた」とか、「持病の手術をして治せた」とかいう話を聞いて、個人的には「良かったね」と思うけれども、休業補償の対象にはならず、仕事が減った業種の人との不公平感はひどいものだ。
一方、地方のレストランやホテルなどは大都会と違って、アルバイトでしのぎようもなく、地元を離れたり他業種に移った人が多い。また、テーマパークなども含めて、乗り物やアトラクション施設など、使わねばメンテナンスは難しく、営業再開後、トラブルが頻発しているが、知床の観光船もまさにそのケースだ。
国後島に流されている可能性も大きい
知床の事故では、船体も行方不明者も国後島のロシア側が占拠している水域に流されつつあるようだ。私は遭難のニュースを聞いて、すぐにロシアと連絡をとるべきだと思ったが、迅速さを欠いたようだ。
船は沈没した可能性も高いが、もし漂流していたら、ロシアの迅速な協力が生死を分ける。海難の場合には、中間線を越えて行動できる協定はあるようだが、ロシア側の協力も求めるべきだろう。
報道によれば、ロシアが嫌がらせしているわけではないのは、これまでも、北方領土での事故や、病人の搬送で協力してきたのが生きていると言われる。
日本とロシアは隣国である。いかに領土問題で対立していても、不測の事態をさけるためにも、こうした緊急事態対応でも、経済協力でも、領土問題があるからといって何事においても対立するとか、憎しみ合わないようにしておかないと双方にとって損なのである。
私はかねて云ってるとおり、欧米との信頼維持関係のために制裁にかなり協力するのには賛成だが、ロシアの言い分にも理解を示し、仲介に入り、また、国民レベルで反日、反露感情が高まらないようにしないと取り返しがつかないことなになる。