太陽光発電などの再エネコストは火力発電よりも安くなった?

世界トップランクのカリフォルニア工科大学(カルテック)のナンバー2のプロボストも務められた、名実ともに科学者の頂点にいる、スティーブン・クーニン教授。

著作「Unsettled」は邦訳版「気候変動の真実」も出版されて、その書評はアゴラでも紹介していただきました。

「気候変動の真実 科学は何を語り、何を語っていないか?」スティーブン・E・クーニン(著)

科学者からの地球温暖化に関する「逆警鐘」も一般に広まってきていると思います。オーストラリアの元副首相とクーニン教授の対談動画を観ていて、あることに気がつきました。

【動画】The Politics of Climate Change | Steve E. Koonin

それは、最近日本で「太陽光の電気落札価格、火力の半分以下 再エネに追い風」という日経新聞のニュースに関するものです。

太陽光の電気落札価格、火力の半分以下 日経

その日経新聞の記事には、経済学者の池田信夫さんが「日経新聞の知らない再エネの「本当のコスト」は1万倍」として反論解説記事を書かれています。

日経新聞の知らない再エネの「本当のコスト」は1万倍 池田信夫 blog

クーニン教授の対談でも太陽光発電のコストは池田信夫さんと同様に以下のように説明されていて、豪州元副首相も納得されていました。

太陽光発電や風力発電のコストが低くなったというが、それらは電力が必要なときに供給できないので、常にバックアップ電源が必要。バッテリーによる蓄電はまだ技術的、コスト的にバックアップ電源として不適格なので、ガスや石炭火力発電、そして原子力発電が必要。つまり、電力供給はシステムとして考える必要がある。それを考慮して安定した電力の供給での再エネのコストは今示しているものの5-6倍になる

電力は、究極の生鮮品です。使いたいときに発電する必要があります。再エネだけ切り離してそのコストが低くなったという情報は、全体のエネルギー供給の議論を阻害する情報だと思います。

「「再エネは変動するから火力で補わねば」という考え方は古くなってきています。「需要に合わせた発電」から、「発電に合わせて需要を調整」するのが #デマンドサイドレスポンス」という、驚くべきディストピア的発言が政府機関の公式ツイッターでなされていました。

「使いたいときに使うのではなく、再エネ発電が発電しているときに電力を使う」というのは、自由主義、資本主義社会では、とんでもない発言だと思っています。

動画のノギタ教授は、豪州クイーンズランド大学・機械鉱山工学部内の日本スペリア電子材料製造研究センター(NS CMEM)で教授・センター長を務めています。