プーチン大統領が政権を運営できる体力はいつまで?
ロシアによるウクライナへの侵攻は長期戦になる様相を呈しているが、それは米国がロシアの勢力を削ぐ為にそのようにさせたいだけだ。それは米国の軍事力を中国とロシアの両方に向けねばならなくなることを回避したいからである。
一方のロシアは兵士に戦う士気はなく、長期戦になればロシア経済にも多大の損出をもたらすことは必至だ。パーキンソンと甲状腺がんを患っているプーチン大統領にとってウクライナからの撤退をロシア国民を前に正当化できる理由を早く見つけたいというのが現在の彼の心境であろう。
プーチン氏が今後いつまで政権を運営できるだけの体力があるかという疑問である。米国で最大のスペイン語放送のデジタル紙「ウニビシオン」4月5日付によると、2016年から2020年の間に甲状腺がんの専門医エフゲニー・セリバノフ氏がソチに滞在中のプーチン大統領を訪問した回数は35回、延べ166日彼を診察した。二人の耳鼻科専門医が同期間中に282日彼を診察している。これらの情報はロシアの探査報道メディア「プロエクト(Proekt)」からの情報だとしている。
ウクライナの隣国を侵攻できるだけの力はロシアには残っていない
当初、NATO支援を基にウクライナ軍がロシアの侵攻を食い止めることができない場合は、プーチン大統領が次に狙っているのはモルドバ、その次はジョージアへの侵攻だと言われていた。しかし、それが遂行できるだけの余裕はロシアにはもうない。
フィンランドとスウェーデンのNATOへの加盟は6月に予定されているスペイン・マドリードでのNATO首脳会議で承認される予定だ。
ヨーロッパを分裂させるつもりであったプーチン大統領の意向は裏目に出て、ウクライナへの侵攻が逆にヨーロッパ諸国間の結束を強める結果となっている。
プーチン氏はこれまでも西ヨーロッパの結束を弱体化させようとした動きがあった。例えば、スペインのカタルーニャが2017年に独立の動きを見せた時に、ロシアは当時のプッチェモン州知事に1万人の支援軍隊を送り、独立した際には5000億ドルの資金を提供する用意があることを表明していた。
Yesマンに囲まれたプーチン大統領
ウクライナへの侵攻についても、Yesマンに囲まれたプーチン大統領は短期間に征服できると容易に考えていたようだ。スペインよりも幾分大きな国土を持つウクライナを短期戦で征服できることなど常識的に考えればそれが非現実的であるというのは容易に判断がつくはずである。
米国がトランプ前大統領の時にマドゥロ大統領の政権を打倒すべくベネズエラに軍事介入しようという考えがあった。しかし、その為には軍事的また経済的に相当の犠牲を米国は強いることになると判断してそれを断念した経緯もあった。冷静に考えれば、ウクライナ侵攻など無謀でしかない。領土の狭いロシアのクリミア併合とはワケが違う。
精神面の問題を抱えたプーチン大統領
プーチン氏の今回の誤算には彼の冷静な判断に欠ける精神面の問題も影響しているようだ。
プーチン大統領の精神面を分析した記事が5月7日付「ABC」に掲載された。カリフォルニア大学の著名精神科学者ジェームズ・ファロン氏が同紙のインタビューに答えたものだ。その内容の一部を以下に紹介する。
ファロン教授はプーチン氏に関係した全ての情報に目を通し、また彼の自叙伝の内容やロシアについての専門家とも接触して至った結論は、プーチン氏はサイコパス(精神病質者)だ、ということを明らかにしている。
実際、彼の自叙伝は嘘で満たされていると言及している。幼年期のことを偽っているというのは正にサイコパスがやる典型的な例だとした。プーチン氏は自叙伝によると、彼の両親の元サンクトテペルスブルグで育ったと言及している。実際はそうではなく、彼の本当の母親はジョージア出身で既婚していたが、愛人のロシア兵との間に生まれた子供だ。その後、幼少のプーチン氏は厳しい環境下にあった彼の祖父母の元に送られたということだ。
また、プーチン氏は暗殺の指示者であるという陰が常に付きまとっている。数年前にも、このプーチン氏の実の母親にインタビューしようとした二人のジャーナリストが不審な状況下で死亡しているのもそのひとつだ。同様にこの実の母親も殺害の対象にされたこともあった。更に、プーチン氏は幼少の頃から性的虐待も受けた。
良く女性が伴侶を毒殺するケースがあるが、彼は敵を毒殺するのを好む人物だ。サイコパスであるが故にそれが抵抗なくできる。
老化の始まったバイデンとメルケルがいないEU
プーチン氏にとって彼が考えているウクライナはロシアの一部を形成すべき国だと見ている。ところが次第にEUとNATOへ加盟する方向に向かっている。それはロシアにとって脅威であると受け止めたプーチン大統領はウクライナへの侵攻を考えるようになっていた。彼はサイコパスであり、彼を囲む側近はYes マンばかりで侵攻に断固反対する者はいない。
しかも、米国で老化が始まっているバイデン氏が大統領として登場し、サイコパスのプーチン氏は優越感を覚えるようになっていた。米国の前大統領だったトランプ氏は常識に囚われない政治を平気でやる破壊者でしかも短絡家ということで、それがサイコパスのプーチン氏への抑制力となっていた。
そしてヨーロッパはプーチン氏が敬意を払っていたEUのリーダーメルケル氏も政界から去った。
ひ弱に映ったバイデン大統領とメルケルのいないEUはロシアが具体的に侵攻を開始するGood Timingだとプーチン氏は考えたようだ。
そして今、ウクライナ紛争は膠着状態にある。ウクライナ軍も弱体化しているロシア軍を国外に追放させるだけの勢力はない。
唯一警戒を要するのは、プーチン氏を崖っぷちに追い込むと、サイコパスの彼は核兵器の使用ボタンを押すことに躊躇しない人物であるということだ。