盛り上がらないアメリカ大統領の訪日

4630万円をネットカジノに使った男のニュースでもちきりです。この男の精神構造はどうなっているのでしょうか?いわゆる「破れかぶれ破綻型」で一瞬にして人生を棒に振るタイプでしょうか。以前、某製紙会社の御曹司はカジノで100億円使ったので4630万円という金額はかわいく見えますが、この暴走型の人が近年、潜在的に増えた気がするのです。「そもそも俺は何で生まれたんだ!人生80年もやるの、かったるくない?」でしょうか?これも社会の閉塞感なのでしょうか?ここまで阿呆な行動をされると日本人のイメージの問題にもなります。

では今週のつぶやきをお送りします。

アメリカ発の腰の据わらない相場

相場と付き合うにはある程度の信念が必要です。独りよがりではなく、時代の流れや3歩先を読み、目先のブレには目をつぶるのは重要です。かといって私はアークのキャシーウッド氏のようにハイテク万歳を唱え続ける理由もわからないのです。今回の下落相場ではヘッジファンドが清算に追い込まれるところも出始めていますし、投資信託のパフォーマンスが悪すぎて資金流出という悪循環に祟られているのが現状です。

私は個人の狼狽売りが出てきており、底打ちを探る展開にあるとみています。私の個人的信念は戦争が終わればウクライナ復興需要で資源は枯渇するほど必要になるし、先進国はつい去年まで盛り上がっていたEVや環境問題への取り組みなどback to normalになるだろうとみています。今、ハイテク株が下げているのはハイテクを否定したのではなくコロナ禍でハイテクが必要以上に活況だった、それだけであってポストコロナはその部分が剥げから業績が悪く見える、これが私の分析です。だから私はアマゾンはダメだとずっと申し上げているのです。

アメリカのもう一つの意見対立はスタグフレーションが来るか、という点で専門家の意見もほぼ完全に割れています。私は避ける方法はあるとみています。それは金利上昇ペースが緩むことです。つまりFRBがフォワードガイダンスを若干見直せば相場は跳ねやすくなります。心理的にも改善します。ではそれをFRBがするか、といえば今のところはその気配はありません。ですが、今回の腰の据わらない相場をそもそも作り出したのはFRB主犯説が大いにあると思います。政策委員が好き勝手しゃべり過ぎです。これが皆を惑わせるのです。個人的には「止めてくれないかな」と思います。

バイデン大統領がやってくる

これほど盛り上がらないアメリカ大統領の訪日も久しぶりの気がします。クリントン氏は日本を5回、ブッシュ(子)氏は4回、オバマ氏が5回、1期しかやらなかったトランプ氏が2回訪れています。今回の初来日は手薄になりがちな東アジアを見直すことだとみています。中国も北朝鮮もロシアを横目にやりたい放題です。まずは今日、韓国で尹新大統領との会合があります。前政権の時はそっぽを向き続けたアメリカですが、今回はラブコールとなる気がしています。新政権をアメリカが支える、それを通じて韓国国内の空気を変え、ひいては日本との関係改善を迫るとみています。

バイデン大統領 MarsYu/iStock

その後、日本に来るわけですが、岸田首相ともじっくり話したことはありません。G7の時やオンライン会合でしたので実質的には今回が初の本格的会合です。1:1の個別会談もあるのでしょう。その際、アメリカが日本に期待すること、日本がアメリカに期待することが当然議論されるはずですが、期待は相手国からすれば義務になります。このコミットメントが双方、できるのかが共同会見に向けた調整になるとみています。個人的にはあまり具体的に突っ込んだ声明は出ないような気がしています。バイデン氏はそこまで踏み込まないタイプに見えます。

もう一つの注目がクワッドですが、私はやや疑心暗鬼なのです。それはインドの姿勢が他のメンバーと比べ単純明快ではないからです。インドは中国とは確かに距離を置く関係ですが、ロシアとの関係は良好です。インドからすれば「味方の味方」が中国です。「敵の敵は味方」と言いますが、「味方の味方は敵にあらず」ではないかと思います。インドは基本的に自己利益中心主義です。中国が本気でインドを取り込みに行けば明日にでも関係修復できるネタはあります。国境問題です。国益を考えればあの国境問題は中国にとってはディール可能です。戦前、平沼騏一郎という首相が日独ソ関係がある時180度転換したことで「欧州の天地は複雑怪奇」と言って総辞職したことがあります。国際関係は表面的関係と真の関係は別のところにあることを悟るべきでしょう。

小池百合子さんは今

正直、今、選挙をやったら小池さんは勝てるのだろうかと思うのです。コロナ禍では強烈にその対策をアピールし、飲食店を中心にビジネス環境が混乱の渦となり、ここにきてようやくウィズコロナが本格浸透してきても都民にねぎらいの言葉一つもなしではやっぱり女帝と言われてしまいます。この2年強、オリンピックはやったけれどそれ以外は目立った動きがなかったというのが私の印象です。北米にいて思うのはこの2年にどれだけ水面下で頑張ったかで結果が出ているところと完全停滞しているところに分かれます。これは企業でも役所行政でも同じです。東京都は停滞型だったような気がします。

そんな折、ゴールデンウィーク前に新規住宅の「太陽光パネルの設置義務化」を打ち出しました。唐突感があります。ただ、これもほとんどニュースになっていません。メディアは小池さんネタを「ネガティブ」ととってスルーしているようにすら見えるのです。しかもこの設置義務は建物の購入者ではなく、住宅メーカーに課すのです。つまり「太陽光パネル抱き合わせ商法」に都がお墨付きを与えるのです。これでは太陽光パネルの材工の金額は言い値となり、一部の業者の笑いが止まらなくなります。では設置すれば住宅購入者はリターンがあるのか、と言えば投資の回収は実質無理です。私は200万円かけてパネルを設置し、東電から毎月概ね5000円頂いております。回収まで33年ですね。

その小池さん、UAEの前大統領の弔問に行きました。3年ぶりの海外がUAE。なぜ、という気もします。この弔問外交は日本は甘利さんが特使でアメリカはハリス副大統領らが行っていますので確かに重要なのですが、小池さんがわざわざという不思議感はします。かつてエジプトに留学していたこともあり、「小池さんは中東がお好き」ということなのでしょうか?最後は参議院選挙ですが、荒木代表をファーストから是非とも、というポジションでご自身の国政復帰はもうなさそうな気配です。今年7月に70歳になるのを見据え、そろそろ後進に道を譲る準備をするのでしょうか?

後記
最近、取引先の若い担当が私のことをパワフルと評したそうです。元気の源は自分のやりたいことへの時間配分を大事にしているからかもしれません。特に週3回のハードなエクササイズはメンタルだけではなく、フィジカルに元気にさせてくれます。昨夜、83歳だけど私より10倍パワフルな旧知の女性と会食をして約3時間半、2人で盛り上がり、お互いにエネルギーもらったと笑って別れました。人生前向きに新しいことを開拓するのは何歳になってもできる、と確信しました。60歳のバリアを自分で作ってはいけないですね。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年5月21日の記事より転載させていただきました。