2022年6月10日の記事の再掲です。
大停電の瀬戸際で「電力設備増強は必要ない」と主張した再エネTF
2022年の3月22日、東京電力の管内は大停電(ブラックアウト)が起こる一歩手前だった。その最大の原因は、3月17日の地震で東電と東北電力の火力発電所が停止し、出力が335万キロワット低下したことだが、もう1つの原因は、これが3月に起こったことだった。
冬の電力消費のピークの1月から2月には火力発電所はフル稼働するが、3月は停止して補修点検する。このため3月下旬の最大供給量は2012年の4712万キロワットだった。
しかし3月22日は季節外れの大寒波で、最大需要電力の予想は4840万キロワットと130万キロワットの供給不足になる見通しだった。
このため「電力逼迫警報」が出され、揚水発電をフル稼働し、デマンドレスポンスを動員し、連系線を利用して電力を融通し、供給電圧の低め調整という危険な対策まで動員して、電力需要を4534万キロワットに抑制し、大停電をまぬがれた。
ところが、これについて内閣府の再エネ等規制等総点検タスクフォースは、4月25日に「電力は足りる」という提言を出して、電力関係者を驚かせた。
それによると「冬の最大需要は5380万キロワットだったので、3月の最大需要4840万キロワットを満たす供給力は存在していた」から、原発再稼働や火力の増設は必要ないという。
これに対して5月27日に資源エネルギー庁が詳しく反論した。3月は約1000万キロワットの定期補修が予定され、最大に稼働しても4500万キロワット程度が限度だった。
合計270万キロワットの柏崎刈羽6・7号機が動いていれば、大停電のリスクはなかったが、再エネタスクフォースは「原発は頼りにならないので再稼働の必要はない」という。頼りにならないのは天気まかせの再エネである。