スシローが消費者庁から是正措置命令:大手回転ずしチェーンにはほとほと失望

スシローがおとり広告を打ったとして消費者庁が是正措置命令を出しました。数年前から増々過激になった回転ずし戦争。日本的なエンタメ要素もあり、安くて子供も大人も楽しいがテーマなのでしょうが、私は大手回転ずしチェーンにはほとほと失望しています。

あんな透けて見えるようなネタでシャリばかり食べさせられるのならまだスーパーの総菜寿司の方がましじゃないかと思うのです。業界が争うことは表層のマーケティングではなく寿司をきちんと提供することだと思うのですがね。

Nayomi/iStock

では今週のつぶやきをお送りします。

株価は溶けるのか?

あれっと思ったのは本日発表になったアメリカの消費者物価指数。想定を超える8.6%アップで40年ぶりとヘッドラインに踊っています。ただ、ほとんど書かれていないコアインフレ率は6.0%で前月の6.2%から着実に下落トレンドを踏襲しており、当面下落継続と予想されます。今回の悪役はエネルギーで特に原油がほぼ全てといってよいでしょう。とすればFRBが利上げをするよりも政策的な対策の方が速攻で効果もあるはずなのです。バイデン政権が備蓄の放出といった焼け石に水ぐらいの対策しか打てないところに限界を見て取っています。

利上げをすれば金利収入が懐を温める点は忘れてはなりません。カナダ大手銀行による個人向け6か月もの定期預金は3%の利率を提示しています。この先、まだ利上げがあれば年末には4%といった数字が出てくるのでしょうか?ならば株がダメでも金利収入をあてにするという手が出ます。かつては利上げはお金を使わせない縛りだと考えていましたが、そんな時代ではないとみています。

では元凶の原油は何処まで上がるのかですが、原油関連を長く買い持ちした者として相場を見続けた感じではもう9合目にあるような気がします。アナリストがやれ150ドルだ180ドルだといい、投資の矛先が原油に向かい始めた今は相場の末期症状でしょう。トリガーはウクライナ問題の決着で、私はこの戦争はもうそんなに長くは続かないとみています。つまり、大きな変化の前触れを想定しています。よって株価は溶けないというのが私の見方です。ちなみにダウ、ナスダック、S&Pはチャート上、いびつなW底か底抜け直前かの分岐点です。

中国様々論

中国の将来について様々な意見が交錯しています。その将来について好き嫌い感情が先にあるとあまり冷静になれないのでなるべく客観的に中国様々論を考えてみましょう。私は「えっ!」と驚くような事態が生じる気がするのです。今、疑っているのは習近平氏の続投は本当にスムーズに行われるのかが検証課題に上がってきそうだという点です。テーマは失敗したゼロコロナ対策と経済の失速感です。これにより国民のベクトルが一体化しなくなっているように見えるのです。

李克強氏が国務院主催の全国10万人規模のオンライン経済会議を行ったと報じられています。これに習氏は出席していません。習氏が牛耳る経済運営は中央財経委員会でそれとは別の形で李氏がぶち上げたわけです。異例中の異例とされます。当然、口には出さないけれど習氏への不満が背景にあったのでしょう。李氏の今回の会議は7月末からひそかに始まる北戴河会議の事前準備だと考えるのがナチュラルです。とすれば夏の長老談義で秋の決戦の行方が占えるかもしれません。

中国の経済成長の鈍化がなぜ、急速に進んだのか、一つには中国の労働生産性が改善しないことにあります。つまり人力戦術から未だに抜け出せないとすればそれは習氏の古典的な共産思想が世界で進む人材の能力開発のスピード感とマッチしていないのが自明であります。

折しも盟友(?)のロシアは今、少なくとも国家運営に関しては完全に瀬戸際。お隣の国の若者はロケットをポンポン打ち上げるしか能がありません。太平洋進出は以前に比べて格段に包囲網が構築されつつあります。習氏の名誉ある撤退ないし自身を神聖化した上で実務を禅譲するなどは起こりえる気がしています。

なぜ若者は大学を目指すのか、なぜ、企業はジェネラリストを養成するのか? 大学に行って良い会社に就職して定年まで頑張れば幸せな老後が待っているという絵に描いたようなライフはもうありません。

卒業大学の名前で「仕分け」されながらも頑張って正社員のステータスを維持するため従順な社畜となり、私生活は孤独ライフを貫くなんて誰が想像したでしょうか? 会社に入っても10年間は様々な部署をくるくる経験し、「君の特性は…」といわれジェネラリスト型で一応、ちょっと長くいた専門部署で会社人生を全うするという感じでしょうか?

アメリカでは余るホワイトカラー、不足する専門職とブルーカラーが顕著。AIやロボットなど技術の進化が目指すのは業務の代行であり、賃金が高いホワイトカラー減らしは一番先にやりたいところでしょう。

北米の企業組織運営を見ているとより少数精鋭で高い責任と高い賃金、つまりアメとムチの論理となっています。となれば無理して偉くならなくても専門職などでも賃金が十分上がってきた今、ワークライフバランスを考えると全く問題ない気がするのです。またアメリカでは大学生が着実に減っています。コロナが原因ではなくもっとその前からの傾向です。

Youは何しに大学へ、と言われれば結局高い学費に見合いがないと考えれば専門職の方が当面の食い扶持はありそうだという割り切り感はあるのでしょう。ただ、日本でそれが根つくか、といえば私は疑問視です。

なぜなら北米のように社会の変化に合わせて社会人教育などを介して自分を変身させる姿勢が日本には少ない気がするからです。「俺、〇〇しかできないから」で受け入れる企業も「ある程度経験がないんじゃちょっと無理だね」になります。しかし、なにも得意技がない大学卒が溢れる社会もおかしい気がします。日本の大学の数は今の半分でもいい、その代わり専門技術を磨かせた方が長期的にはよい気がします。

後記
今週、推進するグループホーム開発事業の地鎮祭を執り行いました。神道系宗教で日系の神主さんをお呼びした完全日本型地鎮祭。私が新入社員でゼネコンに入社した時、祭事の段取り司会がうまいとの部長の評価で豚もおだてりゃ木に登るとはこのこと。数々の大現場の神事の司会をこなしてきました。こちらでも何度も日本型神事はやっていますが、祝詞が英語というのは何度聞いても珍妙なり、であります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年6月11日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。