やっぱりタワマンに住むのは「リスク」

東京都品川区にある44階建てのタワーマンションの18階のベランダから火災が発生し、消防車30台が駆け付ける騒ぎとなりました。

ケガ人は出たものの、多数の死者が出るような大惨事にならなかったのは、不幸中の幸いですが、ニュースを見て背筋が寒くなりました。(写真を元記事で見る

一歩間違えれば、5年前のイギリスのマンション火災のような事態になりかねなかったからです。

高層マンションのリスクは、万が一火災が発生した場合でも、消防車のはしごは30メートルから40メートルのものがメインで、14階くらいまでしか届かないことです。

タワーマンションのイメージ ImageGap/iStock

また、炎や煙は上に向かっていきますから、低層階で発生した火災に巻き込まれる危険があります。逃げようにも途中階が火災になっていれば、地上に出られなくなってしまいます。

火災が発生すると、エレベーターは止まります。階段には多数の人が殺到してパニックになります。火災に伴う煙があれば、そもそも階段からの避難も出来なくなりますす。

となると残された避難方法は、ヘリコプターでの屋上からの救助ですが、火災に伴う風や熱が発生すれば、大量の人を短時間で救助はできません。タワーマンションの屋上で、助けを待ちながら下からの炎の恐怖に怯える経験はしたいと思いません。

にも関わらず、タワーマンションは、高層階が人気で価格も高くなっています。またホテルも高層階が良い部屋とされています。

でも私は、自宅にするのは、せいぜい10階くらいが限界だと思っています。ホテルがサービスでアップグレードして上層階にしてくれることがありますが、正直あまりありがたいと思いません。

東京には首都圏直下型地震が想定されており、太平洋側には南海トラフのプレート地震が予想されるなど、将来の震災リスクにさらされています。

いつ、大きな地震やそれに伴う火災などの災害が起きても不思議は無いのです。

高層階に寝泊まりしていて、エレベーターが止まって陸の孤島になってしまう。それだけではなく、低層階で火災が発生して巻き込まれて避難できなくなる。そんな最悪の事態を想像すると、やはり低層階で暮らすのが安心だと思ってしまいます。

私のような考え方は少数派で、多くの人はやっぱり高いところが好きなのでしょうか?


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年6月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。