港区おじさんを超える「6リットルおじさん」って誰だ?

カリフォルニアの高級ワイン、オーパスワンのワイナリーに見学に行くと、ライブラリー・ヴィンテージと呼ばれる、少し前に作られた古いワインを買うことができます。

お一人様1本しか買えない、希少なワインです。

レギュラーサイズのワインだけではなく、マグナム、ダブルマグナム、その上のImperial(アンペリアル)と呼ばれる6リットル (8 ボトル)の巨大サイズも、限定お一人様1本なら手に入れることができます。

オーパスワンのレギュラーワインは、古いものでも日本でもお金を出せば、手に入ります。しかし、マグナムより大きくなると、そもそも生産されている本数が少なくなり、日本で手に入れることは至難の業です。

特に6リットルになると、そもそも保管場所に困りますし、12本と同じ量ですから、いつ飲むのかもわからず、買ってみようと思う人は少ないはずです。

サイズが大きくなっても、価格のスケールメリットはそれほどありません。6リットルの2014年と2016年のヴィンテージが、約5000ドル(日本円で約70万円)です。なかなか手が出せる価格ではありません。

私もマグナムボトルは、購入することにしました。でも、さすがに6リットルは、勇気がなくて断念しました。

ところが、このようないつ飲めるかもわからない大きなワインをポンポン買う人たちがいるのです。

港区おじさんを超える「6リットルおじさん」とでも名付けたい、ある意味クレイジーな富裕層です。

ちなみに、港区おじさんとは雑誌東京カレンダーが広げた、都心に住む富裕層男性のこと。別の雑誌レオンでは、チョイ悪オヤジとも呼ばれた人たちです。

もちろんカリフォルニアワイン好きでなければ、こんな買い物はしません。自分で価値を認めるから、このようなワインを喜んで購入するのです。

ただし、この手の希少なワインは将来更に高値で取引される可能性もあります。自分が飲むだけではなく、投資メリットも期待できるのです。

実際、古い有名なワインの大きなボトルにはプレミアムが付いてオークションで落札されるケースが珍しくありません。

つまり、高額なワインを購入する「6リットルおじさん」は、道楽の無駄遣いのように見えて、実はより資産を増やす可能性がある。これは、お金持ちがよりお金持ちになっていくという、現代の経済の仕組みを象徴するような出来事です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年6月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。