参院選論点:解雇規制の流れはどうなるのか?

参院選を前に議論の中心になりつつあるのが解雇規制の緩和です。

解雇規制を緩和すれば非正規は増加してしまうと主張する識者がいます。しかし、解雇規制は非正規には適用されません。非正規は契約が終了したら「雇止め」になるだけで解雇されることはありません。つまり、この主張は成立しません。

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総人件費圧縮は急務である

正社員は「雇用期間に定めのない労働契約」と呼ばれています。特定の企業や公務と雇用者との雇用関係において、定年まで雇用期間を定めない雇用形態を意味します。労働者がその気になれば定年まで勤めることが可能です。これが終身雇用といわれているゆえんでもあります。

これと対比されるのが、「雇用期間の定めのある労働契約」です。同一労働・同一賃金を主張する専門家が声を上げたことにより労働契約法が改正されました。そして「5年経過したら正社員にしなければならない」ことが明記されます。

この改正によって、5年以内なら契約終了(いわゆるクビ)にできますが、それ以上になる場合、正社員に移行し定年まで雇用しなければいけなくなりました。

あなたが経営者の立場ならどのよう思いますか。正社員に移行させたら総人件費がアップします。まったく同じ職務なら5年に達する前にクビにすればいいと考えるのが普通ではないでしょうか。結果として雇止めはむしろ増加し、雇用は不安定になりました。

企業が定年まで社員の面倒を見る終身雇用の形態は欧米では見られない雇用形態といえます。年功序列で処遇される日本では勤続年数が長くなれば自然と給料が上がっていきます。勤続年数が向上すれば職務能力も上がる職能資格が導入されているためですが、コロナ禍のいまの環境にマッチしているとは思えません。

結局、終身雇用はどうなるのか

非正規が増えている原因を「規制緩和」と主張する識者がいます。これは概ね正しい論調です。元々、人材派遣などの事業は港湾や一部業種しか認められていませんでしたが、労働者派遣法改正により縛りがなくなりました。

参考までに、人材派遣大手パソナグループの2020年5月期の純利益は5億9400万円ですが、2021年5月期の純利益は67億8400万円。前期比約1000%を超える結果でした。東京五輪の特需などもあったのでしょう。同社は大きく業績を伸ばしました。

コロナ禍の日本において、総人件費の圧縮は喫緊の課題です。そのため、労働者にお金を支払って退職する金銭解雇の議論も活発です。「労働者をクビにしやすくする制度だ」と問題視する識者がいますが、総人件費を圧縮しなければ正規を雇い続けることは難しくなるでしょう。そうなれば、非正規が増加するだけです。

非正規や終身雇用のあり方がクローズアップされるなか、参院選後の、各党の政策から目が離せません。国民の審判は7月10日に下されます。

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