パリ国立オペラ座バレエ、ジゼル。
前回はストライキとコヴィッドの間にどうにかこうにか上演した2020年2月だったので、「あれ、もうまたジゼル?」な感じ。
この役最後になるだろう&前回感動的だったドロテを見たかったのだけど、タイミング悪く見られず、代わりにセ=ウン&ポールの初役コンビ。
結果的に、見てよかったー!セ=ウン、素晴らしい。
一幕は、とにもかくにもかわいらしく愛くるしいジゼルで、無垢で純粋な愛情が顔と体全体から溢れ出てる。技術はもちろん文句のつけようなく、2つ目のヴァリアシオン、ちゃんと投げキスもしてなんてまぁキュート。惚れるわ、これは♪
狂乱の場も、いきすぎない表情演技でこちらの視線を釘付け。初役でこれだけできるって、すごい。ドロテだって、前回こそ感涙ものだったけど、初役時は全然ダメだった。
二幕も、技術はものすごく、素晴らしくきれいで優雅なアラベスクや、ポワントを細かく動かしながらのバック(なんていう技術なのかしら?)は、この間のラ・バヤデール同様ものすごいスピードと細やかさで圧巻。うますぎて、ちょっと人間的に見えちゃう。腕の使い方も上手くなったなぁ。
演技的には、朝の鐘が鳴るまでは、ちょっと表情が”悲しい”一点張りな気がしたけれど、鐘が鳴った時の、悲しさに安堵感と慈しみが混じる瞬間からラストまで、素晴らしい表情演技。トゥーマッチじゃない演技が、とても好感持てる。
ブラヴァ!
ポールはまあまあ。一生懸命プレイボーイになろうとする初々しいアルブレヒトはチャーミングで、技術は相変わらずきれい。片耳ピアスしてる。いつもしてたっけ?演技も初役にしてはかなりいい。セ=ウンとの相性も抜群。ちょっと残念なのは、最大見せ場の二幕アントルシャシスがたった24回だったこと。ポール、技術力は問題ないはずなのに、アントルシャ、苦手?
前回、ジェルマンは32回、マチアスにいたっては、空に舞い上がっちゃいそうな素晴らしい跳躍を多分34回見せてくれた。マチューは、アントルシャをしなかった・・。今回見た友達によると、今回も避けたそう・・・。(※最後に、前回「ジゼル」感想へのリンク貼ってあります)
アルブレヒトは、技術演技と別に、個人的に楽しみにしてる場面がある。
1つ目は、二幕登場のお墓参りでマントを落とすシーン。これ、結構みんな上手くできない。ニコラが素晴らしかったっけ。今日のポールは頑張ったけど手を使った。
2つ目は、二幕ヴァリアシオンのラストシーンのすらりと伸ばした足の美しさ。
3つ目は、ジゼルがお墓に消える場面で腕を出すタイミング。前回、マチアス&リュドミラはタイミング悪くて、なんと会場から失笑。今回は、セ=ウンが半分くらい消えたところでポールが腕を差し出す。好みとしてはちょっと遅すぎる。
そして4つ目は、ラストシーン。観客側に歩いてくるのか、墓地を出ていくのか、いろいろなスタイルがあるけど、ポールは、バラを手に少し観客側に歩いたのち、ひざまづいた。悪くない。
ハナのミルタは、前回同様いい感じ。この役、お似合い。ダニエルのイラリオンも過不足なし。前回、これ、フランソワが踊って、無駄にうますぎるイラリオンで面白かったっけ。
パ・ド・ドゥは悲劇的だけれど(美笛ちゃんやミリアム、アレッシオやエマニュエル、フランソワがやってた時期は、夢だったのか、、)、かわいらしさ爆発のセ=ウンとそこに寄り添うポールのカップルが、十分に補ってくれる。
数年後のセ=ウンのジゼルが、今からとっても楽しみ♪
その前に、来週のミリアムはもっともっともっと楽しみ♪
編集部より:この記事は加納雪乃さんのブログ「パリのおいしい日々4」2022年7月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「パリのおいしい日々4」をご覧ください。