「忘れかけていたコロナ」と題したブログを書いたのが7月6日。それから2週間強で世界は様変わりのようです。巨人の選手が70名以上感染、大相撲は不戦勝ばかり。挙句の果てにバイデン大統領までかかってしまってはにっちもさっちもいかないわけですが、ここカナダではマスクをする動きはありません。この夏の盛りに「もうあの頃には戻りたくない」という気持ちもわかりますが、このツケは高いものにつくかもしれません。
では今週のつぶやきをお送りします。
三角保ち合い上放れ
この数週間、株式市場は方向感を失っていましたが、インフレのピーク感があらゆる指標から感じ取れるようになりました。26-27日に開催されるFOMCでの利上げが75bpという予想に収まってきていること、秋の利上げは更に小さいものになるかも、という期待感からFOMCの結果を待たずにハイテクなどが物色され、サマーラリーの様相となりました。日経平均も7連騰です。基本的には来週もその方向ですが、27日かその前日頃に一旦「噂で買って事実で売る」になるかもしれません。ただ、それも短期的な小さな調整で企業の決算発表がピークを迎える中、そちらの影響が大きくなるとみています。本日のスナップ社の決算発表を受けた40%の暴落はその好例でしょう。
昨日為替の話をしましたが、日銀が金融緩和維持を発表する頃が円安のピークでそこから一気に3円近く円高に振れたのもアメリカの金利上昇の打ち止め感(まだ上がるのですが、今以上の期待値がフラットになったという意味です)からドルが他通貨に対して売られる展開になっていることで行き過ぎた円安の跳ね返りが起きています。あくまでも短期的な動きでどこかで一旦落としどころを見つけた上で再び方向転換するとは思っています。
このサマーラリーは「世の中を見ないふり大作戦」で動いていますので8月半ばを過ぎるころには現実に引き戻され、8月25-27日の日程で行われるジャクソンホールでの世界の金融当局の大会議が一大キーイベントになります。これは金融実務の最高峰レベルの会議ですので秋以降の金融政策を占う上でサプライズもあるかもしれません。となればサマーラリーはあと3週間が精いっぱいでその後のことは誰にも分らないとも言えます。私はそのあたりは割り切り感で対応していくつもりです。
安倍氏の国葬議論
立民や共産党など一部の政党が反対を主張し、反対派からは「もっと議論を」という声があるようですが、私はそんなにこねくり回さず、戦後の歴史に残る在任期間とそのレガシー、日本の歴史に刻み込まる最期を遂げた方を国葬で送り出す以外何があるのか、と思います。我々日本人は自分と折が合わない敵に対してここまで不寛容な国民だったのでしょうか?村八分という言葉ですら火事と葬式だけは別扱いという意味があります。この気持ちすらないのでしょうか?(村八分の葬儀が伝染病拡散防止だという屁理屈の問題ではないと思います。)
安倍氏が首相だったころ、確かに数多くの政治課題に於いて国会で議論を巻き起こしました。しかし、国会とは議論するところであり、当然のバトルなのです。極端に言えばボクシングやレスリングと何ら変わらないのです。ではその議論の結果、不満を持った人たちは「安倍憎し」なのでしょうか?そうではなく、野党からそれを上回る人を擁立し論破できなかっただけなのです。ましては安倍氏はもうこの世にいないのです。
私はあの事件以降、数多くのカナダ人からお悔やみの言葉をいただきました。普段話さないような方からも「大変だったね」とお言葉を頂戴しています。世界がそれだけ喪に服し、氏の功績をたたえているのです。それなのに日本そのものが素直になれないというのは大人げないです。立派な国葬をしていただきたいと思います。その様子は世界に報じられるでしょう。武道館の周りで反対の声をあげる人は必ず現れるのでしょうが、それは日本の恥を世界にさらすことだといってよいでしょう。
プーチン氏に変化あり
これは私の直感でしかありませんが、プーチン氏はそろそろ戦争を終結させる算段を考え始めたように見えます。一つには膠着状態になり、世の中のニュースにもならなくなってきていること、話題にならなければ果実を取る算段をすべき時期にあること、自国の社会経済も完全に停滞しており、原油価格もピークアウト感があり、ロシアの経常収支に貢献する期待感も下がってきていること、そして最後にプーチン氏が疲れてきているとみています。
今週、プーチン氏は開戦後初めて国外に出ました。イラン訪問です。そこでハメネイ師やライシ大統領と会談したほか、トルコのエルドアン大統領にも来てもらい、三国間会談をしています。それまで一人で守ってきたポジションを誰かとシェアしたいという心理は迷いが生じているとみてよいでしょう。特にプーチン氏が外交的に親交が深い何人かの中でエルドアン氏を選んだということはその影響力を買ったとみています。以前、講和があればトルコが入るかもしれないと申し上げましたが、その可能性が出てきました。
特に先ほどまとまったロシア、ウクライナ間の穀物輸出における黒海ルートが確保は食糧問題に大きな改善となります。この議論はトルコと国連が仲介する形で進みました。トルコの今回の仲介の役割は非常に大きく、緊張緩和が進めばどこかの時点での停戦が次の課題になるでしょう。エルドアン氏が停戦協定まで持ち込めればノーベル平和賞ものです。最大の疑問は西側からの講和の代表が誰か、であります。申し訳ないですが、私には誰一人思いつきません。西側首脳が小粒だとも言えます。これは弱点です。安倍氏が生きていればその可能性は大いにあったと思います。
後記
会長を務めるNPOで「100人BBQ」を開催しました。これだけの規模を企画したのは初めてでこれほど多くの方が来て下さるとも思っていませんでした。老若男女、食べ物をほおばりながら楽しんでいただけたのは冥利に尽きます。オンラインでしかあっていなかったあの人、この人が「久しぶりー!」と歓喜の声があちらこちらで上がるのをみてやっぱりリアルだよな、と改めて思った次第です。反省点は私が焼き係に張り付いたことでいろいろな方をゆっくりご接待できなかったことでしょうか?私は煙に巻かれて完全に燻製状態、来年は煙からの脱出を図りたいと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年7月23日の記事より転載させていただきました。