2022年度の最低賃金の引き上げについて、厚生労働相の中央最低賃金審議会が「30円以上」の額を提言するのではないかという報道がありました。
一方、木原誠二官房副長官は、1日の記者会見で「新しい資本主義の時代にふさわしい引き上げ幅を期待したい」と述べるにとどまり、30円という具体的な水準は触れませんでした。
その後、同審議会の小委員会は、最低賃金を31円引き上げて961円とすることを発表しました。
この報道を受け「30円じゃ足りない」という意見も多くありますが、30円のアップはほんとうに切実なのです。
わからないでもないですが、いきなり1500円にしたらどうなるんですかね。
あっちを立てればこっちが立たずです。
最低賃金が上がると、熟練しても賃金が上がらないという指摘もあります。人件費の総額は変わらないようです。
有効求人倍率が10倍以上になっているのに、なぜか賃金が上がらない業界も数多くあります。
公務員で示されているのは「給与(基本給)」であって「給料(手当込み)」ではないので、様々な手当を含めるとそれなりなので心配ありません。これは大田区役所の初任者の「給与」です。ボーナスも「給料(手当込み)」ベースで5か月分あります。
ニューヨーク州の時給15ドルが話題になりますが、アメリカは州によって最低賃金がまったくちがいますし、ニューヨークに住んで時給15ドルで生活するのは大変そうです。
本質的な問題はこちらにあります。「高校生のお小遣い稼ぎ」が適切な例えではないかもしれませんが、主たる家計維持者が非正規労働者になるという事態は想定はされていなかったように思われます。
むしろ「全員を正社員にしろ」と不可能なことを主張する政党もあります。
日本は移民政策の代わりに正規-非正規という身分社会を作ってしまいました。こちらが顧みられる日は来るのでしょうか。