国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルが「国際人道法に反する」として、ウクライナ側の防衛戦略を批判する報告書を公表し、その後謝罪しました。
アムネスティ・インターナショナルは、ロシアの侵攻に対抗するウクライナ軍を「学校や病院に基地を設けるなどして市民を危険にさらしている」と非難していましす。
アムネスティ・ウクライナ事務所のポカルチュク代表は、アムネスティ・インターナショナルによるウクライナ軍への批判に抗議し、辞任を表明しました。
アムネスティ・インターナショナルのカラマール事務総長は、「市民を危険にさらし、戦時国際法に違反する行為を確認した」と反論しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアによるウクライナへの攻撃を正当化するようなものだ」と強く反発しました。
その後、アムネスティ・インターナショナル側が謝罪することになりました。「ウクライナを非難する報告書によって引き起こされた「苦痛」を遺憾に思う」とのことです。
■
アムネスティ・インターナショナルにとってはいつものことですが、その報じ方によってはロシアのプロパガンダに使われる可能性が高いという指摘があります。
アムネスティはウクライナ軍が学校や病院を軍事拠点に使っているという報告書を出したことで、様々な苦難(distress)を引き起こしたことを遺憾に思うと表明。このタイミングで何を報じるべきか、それがロシアのプロパガンダに使われるかどうか、を考える必要はあるだろう。https://t.co/AIV6Vtrn4O
— Kazuto Suzuki (@KS_1013) August 7, 2022
学校などの文民施設をウクライナ軍が使っていることを批判するアムネスティ・インターナショナルの報告書については、国際人道法の解釈も論点ですが、それ以前に、露の攻撃やウクライナ批判の正当化に使われてしまったというのがすでに大きな失敗であり損害。露が歓喜・・・。https://t.co/Sa1U4crmFH
— Michito Tsuruoka / 鶴岡路人 (@MichitoTsuruoka) August 7, 2022
アムネスティは、その目的や理念のためにも、報告書の影響まで考えるべきだったという指摘もあります。
アムネスティ、自分たちのウクライナ報告書が「苦痛と怒り」を生み出したとして謝罪。しかし調査結果は支持すると。
内容が正しいとしても、それがどういう影響を与えるのか、アムネスティが追求する目的や理念に貢献するのか、そこまで考えるべきだったということでしょう。https://t.co/peKHg7bDaJ— JD (@JDWorldBriefing) August 8, 2022
ウクライナが常に正義であるというわけでもありません。
「ロシアの物語を支持するように聞こえる資料を作り出してしまった」というが、19ヶ所で「人間の盾」を使っていたという報告は否定していない。ウクライナがつねに正義の味方だというわけではない。 https://t.co/WQlyyBTF5L
— 池田信夫 (@ikedanob) August 8, 2022
ネット上では、この声明は謝罪なのか謝罪ではないかということも議論になっていますが、アムネスティ・インターナショナルは現在も報告書自体を支持しています。
なお、アムネスティ日本のツイッターは、以下のツイートを出したまま沈黙しています。
#ウクライナ 軍は学校や病院を含む人口が密集する住宅地に基地を設置し、一般市民を危険にさらしている。
すべての紛争当事者は、常に軍事目標と民間人を区別し、武器の選択を含め、民間人への被害を最小限に抑えるためにあらゆる実行可能な予防措置を講じなければならない。https://t.co/xD6KVkGYrK
— アムネスティ日本 (@amnesty_or_jp) August 5, 2022