日本の不動産の「大バーゲンセール」に群がる外国人投資家

日本の不動産に外資系ファンドが資金投入を加速しています。

その大きな理由は、価格が割安と判断していることです。日本経済新聞の記事によれば、ドル建ての商業用不動産の価格は円安の影響で下落しています(図表を元記事で見る)。

円ベースの国内不動産価格は堅調に推移していますから、日本人からすれば国内の不動産価格が下がっていると言われても実感は無いと思います。しかし、米ドルのような外貨ベースで価格を見ている外国人投資家は、為替の円安による割安感が高まり、日本不動産に対する魅力の高まりとなっているのです。

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日本の不動産には、円安による価格低下だけではなく、低金利という魅力も加わっています。利上げによるインフレ抑制に乗り出している他の先進国とは対照的に、日本では日銀の金融緩和政策が続いています。

不動産購入のローン金利が低く、賃貸利回りと借り入れコストの差であるイールドギャップが安定的に確保できる。これは投資家にとって大きなメリットです。

日本人投資家から見れば、国内の不動産は過去に比べ価格が上昇し、割高感を指摘する人も増えています。

しかし、海外から見れば外貨建ての価格が下がり「大バーゲンセール」状態になっているようです。

今後円安が定着すれば、さらにへ国内不動産マーケットに資金流入が予想されます。

このバーゲンセールは不動産だけではありません。日本企業に対する外資からのM&Aも増えそうです。

自国通貨の価値が下落で、自国の不動産や企業が次々と外国人の手に渡っていく。

自国の資産に海外からの注目が集まり人気化するのは悪いことでは無いのかもしれません。しかし、その原因は円安というのは、何だか自国の資産が外国人に安くたたき売られているようで、複雑な気持ちです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年8月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。