ウクライナに「白旗を掲げろ」とすすめる朝日新聞

新聞は社説ではいえない意見を「寄稿」として出すことが多いのですが、きのうの朝日新聞に1面見開きで載った豊永郁子氏(政治学者)の意見はその典型でしょう。

「朝日らしさ」がよく出ているのは、ウクライナ戦争を見て憲法9条の平和主義のすばらしさを再確認する部分でしょう。

私はむしろウクライナ戦争を通じて、多くの日本人が憲法9条の下に奉じてきた平和主義の意義がわかった気がした。ああそうか、それはウクライナで今起こっていることが日本に起こることを拒否していたのだ。

冷戦時代、平和主義者たちは、ソ連が攻めてきたら白旗を掲げるのか、と問われたが、まさにこれこそ彼らの平和主義の核心にあった立場なのだろう。

要するに「ウクライナが白旗を掲げたら平和になる」という無抵抗平和主義。これには研究者もジャーナリストも怒っています。

特に問題になったのは、最後のこの1節。パリもプラハもナチスに抵抗しなかったから助かったという話です。

最近よく考えるのは、プラハとパリの運命だ。中世以来つづく2都市は科学、芸術、学問に秀でた美しい都であり、誰もが恋に落ちる。ともに第2次世界大戦の際、ナチスドイツの支配を受けた。プラハはプラハ空爆の脅しにより、大統領がドイツへの併合に合意することによって。パリは間近に迫るドイツ軍を前に無防備都市宣言を行い、無血開城することによって。

 

この論法によれば、侵略には「無防備都市」を宣言して降伏するのが一番ということでしょう。東京が無防備都市を宣言したら、都民が虐殺されても奴隷にされても抵抗できません。

朝日新聞は同じ日に想田和弘氏(映画監督)の「非暴力抵抗」のすすめを紹介しています。さすがに本紙ではここまでバカなことはいえないので、「論座」という別館でいわせています。

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さすがにネット上でも「ひどすぎる」という批判が圧倒的ですが、朝日新聞は確信犯です。記者をリストラして、平和ボケ老人専門紙に特化するマーケティングなんでしょう。