10月から最賃アップで「106万・130万円の壁」が切実な問題に

10月から最低賃金が上がります。人手不足を反映して、全国平均でみると31円プラスの「961円」という過去最大の引き上げ幅となります。しかし、年収アップを躊躇させる「106万円の壁」と「年収130円の壁」がふたたび注目されています

年収106万円以上では、社会保険の加入義務が企業規模によって発生します。従来は「従業員500人を超える」という条件でしたが、今年10月に「従業員100人を超える」と変更され、24年からは「従業員が50人を超える」に変更されます。

適用される人が増えることを指して「新106万円の壁」と言っています。税金とちがい、社会保険料が発生すると手取りがかなり減るという指摘です。

もともとの106万円の壁は2016年にできました。超高齢社会では、社会保険料の徴収が大きな課題となってしまっています

扶養に入ることができる「収入の壁」がいろいろあるため、人手不足にもかかわらず扶養を外れないようにするために仕事をセーブする人が多くいます

天引きされる社会保険料は増える一方 Yusuke Ide/iStock

このため、最低賃金が上がる前から本末転倒なことが起きていました

130万円からは企業規模を問わず社会保険料負担が発生します。これからは働く側も130万円の壁を無視できるように自立すべきという現実的な指摘もあります。

配偶者控除が女性の就労意欲を下げているという指摘は、以前からありました。

ここでも納税や保険料負担の平等性と弱者保護がこんがらがった議論になっています。そもそもは社会保障の負担を真剣に議論してこなかったのが悪いとも言えますが。

令和になっても専業主婦論争は続いているようです。