決断は間違えることがあっても、早くした方が良い

今週ある業界の専門家の方を紹介してもらい、ミーティングをする機会がありました。

先方のサービス内容についてお話を30分ほど聞いて、コンサルティングをしてもらう価値があると判断し、ミーティングの途中で契約をお願いしました。すると、あまりにせっかちと思われたのか、笑われてしまいました。

ミーティングの内容を持ち帰って検討してから決めるのではなく、良いと思えばその場で即決する。私はビジネスにおいてそのような判断をすることが結構多いのです。

このような意思決定が、後から拙速だったと後悔することも、結構あったりします。

しかし、例え慌てて失敗するリスクがあるとしても、トータルで見ればこのように早く決断することを繰り返してきたことによるメリットは、今までのところデメリットよりも圧倒的に大きいと感じます。

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まず、良いことであれば、早く決めて早く始めた方が、そのメリットを長く享受することができます。モタモタして時間が経つうちに、その間に得られるメリットを逸してしまうのです。投資の世界では、時間が経てば環境も変化して、当初にあったメリットが消えてしまうこともあります。

また、持ち帰ってあれこれ考えてみたところで、何も新しい判断材料がなければ、持ち帰って検討するのが無駄な時間になってしまいます。考えても変わらない事は最初から時間をかけて考えない方が良いのです。

さらに相手にとっては、長い時間をかけて決断してもらうよりも、即断即決の方が、同じ結論であってもありがたく嬉しいものです。即決することでお付き合いする相手として、他の人よりも好印象を持ってもらえれば、今後のお付き合いにもプラスの影響が出てきます。

私にも逆の立場で、同じような経験があります。例えばセミナーの募集をする場合、いの一番で申し込んでくれる人の方が、最後のギリギリになって申し込みしてくる人より、うれしくありがたいと感じ、印象に残ります。

いつ申し込んでも同じ価格なら、さっさと早く申し込んだ方が良いのです。

「悩んだらとりあえずやってみる、駄目だったらすぐ諦める」というやり方が、私の経験上は良い結果をもたらすようです。「前向きに検討」ばかりしていては、失敗の数は減らせるかもしれませんが、チャンスがどんどん逃げていきます。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年9月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。