10月7日のAbemaPrimeは非常に興味深い話題を取り上げていた。
ひろゆき氏が沖縄への取材旅のついでに辺野古にあるキャンプシュワブを訪れ、座り込みの抗議行動を行っている場所を見て、「誰もいないじゃん」と、座り込み3011日じゃなくてやってないんだから0日と書いたら?とツイートしたことで大炎上した問題の特集を行っていた。
このひろゆき氏のツイートは基地移転賛成派、反対派を巻き込んで大論争になったのだが、とりわけ、基地移転問題を取り上げてきた沖縄タイムスの阿部岳記者は「多数派が数の論理で沖縄県民を嘲笑している行為だ」と断じ、沖縄で活動を続けるせやろがいおじさんは「座り込みの意味じゃなくて座り込みをやってる意味」について言及した。
AbemaPrimeの中で座り込みという事実について言及したのに、基地反対派は論点を常に自分達の主張に置き換えて話そうとしているという点と、そもそも基地移転問題についてひろゆき氏は問題意識があるのか?と逆に問いかけている。
いずれの主張も平行線を辿っているのだが、ただ、そもそも論で何故これだけ沖縄県への基地負担が大きくなっているのか? が主題とならなければならず、日本の保守層が指摘するように、沖縄の基地問題にしても、核兵器保有問題にしても憲法改正にしても、既に数多くの画像や音声、動画が出回っているように、本来の問題点とは全く関係の無い、主張を繰り返す団体が多いのも事実だ。
意味じくもこの番組の出演者である大空氏は、沖縄の基地問題に反対するにしても、そのあり方を見直す時期に来ていると言っている。
その意味で抗議のあり方について言及した大空氏を批判する沖縄タイムスの阿部記者は、東京にいてそのやり方を語ることが違うと言う。これはそもそも、リベラル同士も一つの問題を語る角度の違いで意見の相違があることを表象している。
確かに、沖縄県で基地反対行動を起こしている人の多くは、県外から自称リベラルの人たちが数多く参加している。ただ、ひろゆき氏の主張するように、既に沖縄の基地問題は沖縄県を離れた日本国民の問題として取り上げなければならない段階にきており、その反対行動についての主張を繰り返すリベラルを自称する人たちこそが、主張の誤解を生むような反対派、なんでもかんでも自民党の政策を批判するとか、抗議行動に乗じて中国を擁護するような人たちが参加しているのも事実だ。それをサイレントインベージョンを言ってもいいかもしれない。
そして、今回のひろゆき氏のツイートの最大の功績は、賛否の議論を日本全国に拡大したことだ。
彼は200万人のフォロワーがおり、彼がMCを努めるAbemaPrimeはYouTubeで88万人のチャンネル登録者がいて、ひろゆき自身にも159万人のチャンネル登録者がいる。彼が、沖縄の基地反対の抗議行動の現実を知らしめること、その抗議行動の中身はおよそ平和とか反戦と言えないような違法行為とか迷惑行動にしかなってないこと、そもそも日本人全体が日本の防衛とはいかにあるべきか?の時期に来ていることとは、誠に時季を得ていると言える。
むしろ、基地反対派は積極的にひろゆき氏を利用すれば、基地問題がよく大きく拡散されることにつながるだろう。ただ、同時に考えるべきは、ロシアがウクライナに武力侵攻したことは、中国の台湾侵攻の懸念がより日本人にとっての国境問題と重ね合わされている現実があると言うことだ。
その意味で、沖縄の基地問題をきっかけに、そもそも日本の国境線にはどのような問題が横たわっているか?を知るきっかけになる。
この話に踏み込むと、中国が本来狙っている台湾侵攻の具体的な目的に言及せねばならず、本稿では膨大な字数を要するため、ここでは言及を避けるが、多くの軍事専門家、中国専門家が指摘するように、中国は第一列島帯が核心的利益であることは間違いない。
その意味で、日本の国防において、沖縄における基地の重要性は日増しに増大していることは間違いない。
リベラルが主張するような、日本全体で応分の負担をする考え方もあるが、そもそも、台湾有事は日本の問題であるという観点を抜きに、国防問題を日本全体が応分に負担するという議論が、日本にとって正しいテーマとは言えない。
国防には、地政学的な視点が重要だからだ。
繰り返すが、それら日本全体で議論をしなければならないという意味で、沖縄の基地問題をクローズアップさせたひろゆき氏の働きは非常に大きいし、意味がある。