コロナワクチン接種後の血圧測定で接種後死亡をある程度防げる可能性

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コロナワクチン接種後の副反応として血圧上昇は多数報告されています。一方、血圧上昇は、心筋梗塞、くも膜下出血、脳内出血、大動脈解離の誘因となることが知られています。したがって、コロナワクチンがこれらの疾患の誘因となることは理論上あり得ます。今回は、この問題について考えてみます。

疑い報告症例一覧(製造販売業者からの報告および医療機関よりの報告)より血圧上昇・高血圧のデータをVBAを用いて集計し、そのうちの重複例を削除しました。接種より発症までの日数を調べてグラフにしました。

接種当日に89%が発症していました。

次に、年齢分布を見てみます。

40代~50代にピークがあります。

次に、心筋梗塞、くも膜下出血、脳出血、大動脈解離によりコロナワクチン接種後に死亡した症例を、死亡例一覧より集計して、接種から死亡までの日数のグラフを作成しました。

接種後3日以内に43%が発症していました。

次に、年齢分布のグラフを作成しました。

80代にピークがありますが、40代~60代にも20人~40人の接種後死亡が認められます。

以上のデータより、接種後の血圧上昇が、心筋梗塞や脳出血などの疾患の誘因となっている可能性は 否定できないと、私は考えます。

厚労省は、血圧上昇と接種後死亡の関係についてはコメントしていませんが、入浴と接種後死亡の関係については分析結果を公表しています。公表データより引用してみます。

64歳以下は死亡人数が少ないため、65歳以上と総数のファイザー8区分、モデルナ8区分、合計16区分について考察してみます。95%信頼区間にコントロール群の値が含まれていれば有意差なし、含まれていなければ有意差ありということになります。16区分のうち有意差なしは8区分(赤枠)であり、「有意に少ない」となった区分が8区分でした。

入浴中の死亡とコロナワクチン接種が無関係であれば、すべての区分で有意差なしとなるはずです。 ところが、実際のデータでは半分の区分で「死亡者は有意に少ない」という結果となりました。

死亡者が有意に少ないことは、コロナワクチンが安全であることを示しているのか?

答えは否です。ワクチン接種により入浴時の死亡が減少することは理論的に有り得ません。死亡者が有意に少ないことは、接種群とコントロール群の間にバイアスが存在していることを示していると考えられます。厚労省が提示している表は、生データの比較なのであって、バイアス補正がなされていないのです。バイアス補正ができていないわけですから、立証できたとは言えません。

また、仮にバイアス補正をした上で、統計的有意差を認めなかった場合でも、入浴と接種後死亡とが無関係と断定することはできません。死亡発生率が低い場合には有意差が生じない場合があるからです。有意差がないことは因果関係がないことを意味しないことは過去に何度も論じました。

中高年者は、コロナワクチン接種後は、1週間程度は1日3回(起床時、入浴前、就寝前)血圧測定をするべき。

実際に血圧測定を実施したとしても、入浴時の死亡を防ぐことのできる人数は数十人~百数十人程度と推測されます。そして、その程度の死者数の減少では統計的有意差は生じないと考えられます。ただし、統計的有意差が生じない程度の死亡者の減少であれば、特に対策を考えなくてよいという考え方には、私は賛同できません。病態生理学的にリスクがあるならば、何らかの対策をたてるべきです。

接種後に血圧測定することによるデメリットは特にない。

特にデメリットがないわけですから、厚労省は接種後の血圧上昇に関して注意喚起をだすべきです。また、接種会場において、中高年者の場合は、接種前と接種15分後に血圧測定をするべきです。接種前に普段より血圧が高い場合は接種中止を検討したり、接種後に血圧が上昇した場合は、かかりつけ医に連絡して指示を仰いだりするなどの対策が望ましいです。入浴前の測定で血圧が高い時は、入浴を控えたり、急激な血圧変動を避けるために、ぬるめのお湯にしたりシャワーにとどめたりすることが望ましいです。

注意喚起をだす場合には、エビデンスが必要です。エビデンスとしては、発生率の有意差を調べることは重要です。ただし、有意差の有無を絶対視しすぎると、本質を見誤ることになる危険があります。注意喚起をだすにあたっては、発生率の有意差だけでなく、偶発性の検証、背景にある病態生理を加味して判断するべきと、私は考えます。