「再エネ賦課金徴収停止」は国民民主党「対決より解決」の成果

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「再エネ賦課金徴収」が停止になりそうです。

これは7月の参議院選挙で国民民主党が選挙公約として掲げた物価高騰対策であり、実現すればその後も国民や岸田政権に粘り強く訴え続けた「対決より解決」の結晶の一つといえるでしょう。

自民党の新藤義孝政調会長代行は10月23日、NHKの『日曜討論』において、番組MCから「(電気、ガス料金の)負担軽減策は再エネ賦課金徴収停止と事業者への補助金支出が軸になるか」と問われ「おおむねそういう形で詰めに入っている」と語りました。

これは早速他のマスメディアでも報じられました。たとえば日経新聞では以下の通り報じました。

新藤義孝政調会長代行は23日のNHK番組で、政府が10月中に決める総合経済対策の規模について発言した。(中略)総合経済対策は電気、ガス料金の負担軽減が柱の一つになる。公明党の伊藤渉政調会長代理は「(電気代には)燃料費調整額と再エネルギーの賦課金が計上されている。補助をして具体的に料金が下がるのを実感してもらえるのが重要だ」と強調した。

新藤氏は負担軽減策は再エネ賦課金の徴収停止と事業者への補助金支出が軸になるか問われ「おおむねそういう形で詰めに入っている」と語った。

嚆矢は6月中に発表された国民民主党の追加公約

7月10日投開票の参議院選挙において国民民主党は、選挙期間中の6月26日に下記の通り「再エネ賦課金の徴収停止」を追加公約として発表しました。私が知る限り、この追加公約こそ、与野党を通じて最も早い、再エネ賦課金徴収停止の主張でした。

これについては、池田信夫氏も賛成を表明していました。

「再エネ賦課金の全面停止」に賛成する
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2週間前のテレビで自民党は否定的だったが…

今からわずか2週間前の『日曜報道 THE PRIME』(フジテレビ)では、出演した玉木代表が「電気の月額支払い料金に含まれる再エネ賦課金の徴収停止」を主張しました。

このとき共演していた自民党の甘利議員は一つの考え方だとしつつ「それでは少額で、法的な問題や逆進性の懸念がある」といった理由を並べて、この時点では否定的な見解を示していました。

再エネ賦課金巡る議論:とって配る自民 vs. とるのをやめる国民
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岸田総理に玉木代表が膝詰め直談判

10月20日になると、岸田総理に対して玉木代表が緊急経済対策などの申し入れを行い、玉木代表は電気料金の明細票サンプルを使って「具体的に国民が実感を持つにはどうすればよいか」などを“レクチャー”したようです。

サムネイルはそのときの様子ですが、「対決より解決」を象徴するいい絵です。

23日の『日曜報道』では与党も一転して肯定的に

岸田政権の支持率低下に歯止めがかからないことも背景にあったのでしょうか。

冒頭で記述した通り、自民党の新藤義孝政調会長代行は10月23日、NHKの『日曜討論』において、MCへの問いかけに「そういう形で詰めに入っている」と答え、「電気、ガス料金の負担軽減策は再エネ賦課金徴収停止と事業者への補助金支出」という施策に肯定的であることを表明しました。

国民民主党はもっとアピールすべき

また、同番組における与野党出演者には、再エネ賦課金徴収停止に強く反対する意見もなかったので、おそらく徴収停止かそれに類似の施策が実施されるでしょう。その場合、国民民主党は自党発の政策として大いにアピールすべきと考えます。

これまでも感染症による困窮への経済支援などで非常に有効な施策を政府に提案し、そのアイデアを政府側が活用するような場面がありましたが、国民からの認識があまりに薄い印象があります。今回も『日曜討論』に国民民主党として出演した大塚議員は与党の話に「賛成」と言っていましたが、そこは「国民民主党の提言を聞き入れてくれてありがたい」くらいは言うべきでしょう(「奥ゆかしさ」は誠に好感度の高い人柄ですが、政治家ですから良い人過ぎるでしょう)。

それは直接的には国民民主党のためですが、大きくとらえると国民のためにほかなりません。なぜなら、有意義な政策を推進する野党が台頭することは、与党へのプレッシャーを通じて政治の質の向上につながるからです。

いずれにしても、これは国民生活を守るために政治が機能した好事例となるでしょう。実現を祈ります。