潜水艦共同作戦、米英豪で実施を 英海軍トップ、インド太平洋の秩序「同盟国の分担必要」
英海軍の制服組トップ、ベン・キー第1海軍卿は、インド太平洋地域の秩序維持に向けて、米英豪による潜水艦の共同作戦の実施など、同盟国が分担していく必要があると述べた。横浜に停泊していた哨戒艦テイマーで日本経済新聞との取材に答えた。
英哨戒艦テイマーと姉妹艦スペイは昨年来、インド太平洋に5年間の長期にわたり配備されている。この間、両艦は一度も英国に戻らず、3班に分かれた乗組員がローテーションを組んで船を運用している。
両艦はそれぞれ2020年、21年に配備されたばかりの最新艦。前方展開を維持するには膨大なコストがかかるが、キー氏は「この地域で発信したいシグナルを考えれば十分に支払う価値のあるコストだ。アジアは世界経済のエンジンであり、国益にかなう」と語った。
記事のキモはここです。5年間の長期の派遣が可能なのはクルー制があるからです。
海自はまだくまの級FFMで導入したばかりです。しかも3隻で4クルーです。現状海自はアデン湾などで海賊対処では行ったきりで乗員の交代ができません。
クルーは長期の勤務を強いられて疲労します。また毎回違うフネを送るので、現場の海域までの往復という「無駄な時間」でもクルーは疲弊します。無論往復の燃料費も馬鹿になりません。
このようなキツい仕事が艦艇乗組員が中途で退職する理由の一つです。こういうブラック航海は組織をじわじわと蝕んできます。
つまり、例えば南シナ海での哨戒任務を何年間もやるのであれば、長期航海をガンバリズムで行い、交代するフネの往復も時間かかり非効率です。そして現場は疲弊してどんどん隊員が辞めてしまいます。
既存の護衛艦も定期修理時に同じクラスであれば同一の艤装に治して、クルー制を導入すべきです。それも1隻あたり2クルーが望ましい。護衛艦の数を増やす、隻数を減らしてよりも乗組員を増やすべきです。
潜水艦も同様です。そもそも2つの会社が隣り合わせてドッグを保つ必要はない。であればドッグを維持するにしても事業統合をすべきです。そうすればベンダーも統一されて、艤装が異なることはありません。当然排除されるベンダーは出ますが、残ったベンダーは仕事が増えます。
特に潜水艦は1隻2クルーを早期に実現すべきです。一番適正が厳しいのが潜水艦クルーです。ですから彼らの負担を減らすべきです。
それから航海手当を増やすべきです。例えば本給と同じくらいにしてもいいでしょう。昔の佐川急便ではありませんが、任期自衛官に関していれば艦艇に乗り組んで4年も過ごせば、独立して店を始める資金ができる程度の収入にすべきです。
そのためには艦艇の数を減らす必要があるでしょう。FFMも数を減らして、警備艦はキャンセルすべきです。航空隊も無人機をもっと導入して縮小すべきです。
艦艇にしかできないことがあると頑張っていると、ますます乗組員は減少して、乗員の充足率は減ります。それは海自の自滅への道です。現実を見て発想が転換できないような無能な提督たちは全部排除すべきです。
本来防衛強化といえばこういうことをやらないといけませんが、自民党の先生方やら「保守の論客」は防衛費を増やせの、馬鹿の一つ覚えです。しかもGDP2パーセントにNATO基準を導入するのは水増しでけしからんとかいっています。
そもそもアメリカがNATO諸国に要求したGDP2%を安倍晋三が猿真似をした話です。NATOと同等ならばNATOの基準を採用するのが当たり前です。こんな猿でもわかる道理がわからん人は国防について語らないほうがよろしいと思います。
【本日の市ヶ谷の噂】
19式自走155ミリ榴弾砲のキャビンにはNBCシステムがついておらず、クルーはNBCスーツを着るだけの「なんちゃってNBCシステム」。これでは戦場で生き残れないが、C-2で空輸というファンタジー仕様に合わせるための軽量化が原因、との噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2022年11月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。