株式市場のムード悪し:東京市場は「円高は株安なり」

サッカーワールドカップ。先週はドイツに勝って勢いに乗るかも、と記させて頂きましたが、無敵艦隊スペインに勝つのは確かに神がかり、奇跡と言われるほど。私はそれでも「奇跡も実力のうち」と申し上げたいです。勝たねばならない場面で監督以下全員が120%の気力で頑張ればできないことはないことを見せてくれました。日本チームがどこまで勇気を与えてくれるか、そして我々はそれに対して何ができるのでしょうか?「よっしゃ、俺も!」になりますよね。一緒に頑張りましょう。

では今週のつぶやきをお送りします。

市場のムード悪し

アメリカの11月度雇用統計が発表になりました。事前予想20万人増に対して26.3万人増を嫌気しているのですが、もともと11月と12月は年末商戦があるため、雇用が活発化します。

雇用統計は昨年10月以降、2月と7月を除きトレンドとしてマイナスが継続しており、今後もこの傾向はしばらく続くとみています。今回の雇用統計もそのトレンドを変えるものではなく、何も刺激的な結果ではありません。

ではなぜ、株式市場はこの統計結果を嫌がるのか考えていたのですが、悪く考えて売りを誘い込みたいのではないかと思うのです。そもそも景気後退の可能性が叫ばれる中、雇用が悪くないならそれは本来よかったね、となるべきところです。

ところが市場はそうとらず、「利上げペースは落ちてもそのピークはまだ先になる」と解釈したのでしょう。それでは景気後退説とは裏腹なわけで市場はさまよっているとしか、言いようがないのです。

私は年末ラリーがあるのではないか、と先週申し上げました。ラリーどころか、下げ一方ではないか、とお叱りを受けそうです。しかし、指数とは別に個別の株価はそこまで下がっていないはずです。NYも東京もチャートは崩れていません。(東京はギリギリですが。)

週明けに値を保てれば「保ち合い」に入るか、何かのきっかけで上に抜ける可能性はあります。ただ、東京市場は「円高は株安なり」なのです。もっとゆっくりした為替の動きならよいのですが、動きが激しすぎます。そこは懸念材料です。

東京証券取引所 Wikipediaより

外したバイデン氏の停戦介入のおせっかい

バイデン大統領がロシアにウクライナからの撤退を条件に停戦介入の用意がある、と発言しました。当然ながらロシア、ペスコフ報道官は「否」の返事です。一方でロシアはいつでも交渉の用意はあると述べています。ここをどう読み解くのでしょうか?

私はバイデン氏は下手だったな、と思います。まず、足元を見透かされたのです。アメリカがウクライナへの武器供与を含む支援は議会がねじれたため、今後はそう簡単に資金がでない、だから、そろそろ対策を打たねばならないというアメリカ国内事情がバイデン氏を動かしたのであり、戦略が見え見えなのです。

停戦を探るならロシアより先にゼレンスキー大統領の真意、ひいてはウクライナ国民の意向を知る必要があります。我々はほぼ誰もウクライナ国民の声を統計として捉えたことはないのです。国民の一部の声だけがばらばらと聞こえてくるだけです。

私は以前から国家のインフラがボロボロになり、市民の犠牲を払い続けることにゼレンスキー氏はどこまで代償を払えるのかと思っていました。これはロシアとの戦いだけではなく、国民と国家の財をどう守るのかという観点からも重要でないかと考えています。

プーチン氏の立場はもっと厳しいでしょう。退路が全くありません。それでも前進以外に脇道に入る方法と、立ち止まらせる方法がある中でバイデン氏の「お前がどけば停戦交渉してもいいぞ」はプーチン氏にすれば「何を言っている、このオヤジ!」にしかなりません。

私が思う方法としては全権の密使を立てる、そして両国の大統領の間を行き来させて詰め交渉をさせたらどうでしょうか?できれば複数人。一人はアメリカから、一人は欧州ないしトルコですかね。もう一人ぐらいいてもよいと思います。

消えた高級食パン店のなぜ?

今更そんなことを話題にするのか、と怒られるかもしれませんが、一言だけ述べたいのです。一過性のブーム、単品勝負、参入障壁の低さ、コロナ巣ごもり下の特需。これ以外に何があるのか、ということです。ここにきて物価高、特に小麦粉が高騰します。

倒産、閉店するパン屋は後を絶たずです。乃が美、一本堂、銀座仁志川といった資本力、ネームバリューがあるところだけが残るのではないか、と囁かれていました。しかし、ここにきて乃が美のフランチャイズ店からも悲鳴が上がり、現場では全然利益が出ないと報じられてしまいました。

日本人の感性とバブル後30年にも及ぶ清貧のライフに於いてプチ贅沢は常に時の話題でした。その中でバルミューダの数万円するトースターが話題になり、食パンぐらい贅沢したいという流れができました。

これは高級スイーツやパンケーキブームとほぼ同じ位置づけで、時間の経過とともに過半数以上が脱落し、ごく一部だけが生き残るといういつものパターン通りです。しかもスイーツやパンケーキの販売店は他の商品も売っている中で高級食パンは一本勝負ですので経営としてはリスクの塊だったとも言えます。

私は海外でビジネスをしてますが、新製品の投入は非常に難しく、ブームが起きるのも稀なことを体得しています。理由は様々な人種、貧富の差、文化や生活の背景を持った人たちの集まりに於いて皆が絶賛し、欲しがる商品はまれな存在なのです。

アメリカはそれでもまだコンセンサスを取りやすい国民性がありますが、カナダや欧州はみなひねくれています。なので日本や韓国で爆発的ブームになる商品の背景は結局はほぼ単一の国民という特殊なマーケットに支えられているのだ、ということはご理解いただきたいのです。

後記
このところ寒波と嵐で街中は大混乱。気温はマイナス5度ぐらいまで下がった日もあったのですが、ふと気がついたのは私、まだ今年一度もコートを着ていないんです。ジャケットの下は半袖のポロシャツで事務所ではもちろん半袖。昨年も2、3回しかコートを着なかった記憶があります。冬でも暑がりなのが理由です。日本なら「格好悪いから」といわれそうですが、カナダなら気楽です。人と合わせなくても誰も何も言いませんので。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月3日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。