日本の「失業率」の特徴

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1. 男性の完全失業者数

前回は日本全体の完全失業者数完全失業率について統計データを確認してみました。

日本は1990年代後半から2010年代にかけて完全失業率の高い時期が続いたようです。

今回は、男女別、世代別に完全失業者数や完全失業率について眺めていきましょう。

図1 日本 男性 完全失業者数
労働力調査 より

図1は男性の完全失業者数の推移です。

やはり1990年代から2010年代まで高い水準が続いていたようです。

2019年に1980年代の水準まで低下した後、2020年からはコロナ禍の影響と思われる増加がみられます。

日本 男性 完全失業者数
1970年 38万人
1980年 71万人
1987年 104万人
1990年 77万人
2000年 196万人
2010年 207万人
2019年 96万人
2021年 117万人

図2 日本 男性 完全失業者数 年齢階級別
労働力調査 より

図2が男性の年齢階級別完全失業者数です。

1980年代は55~64歳の完全失業者が多かったようです。

1990年代からはそれに加えて25~34歳の完全失業者数が大きく増加しているのが特徴的です。

65歳以上の完全失業者数も徐々に増えている状況ですね。

2. 男性の完全失業率

次に、男性の完全失業率についても確認してみましょう。

図3 日本 男性 完全失業率 年齢階級別
労働力調査 より

図3が年齢階級別の完全失業率です。

15~24歳が極端に高く、55~64歳、25~34歳が高めの水準となっています。

35~44歳、45~54歳、65歳以上はおおむね同じような低い水準で推移していますね。

1990年代から2010年代まで3~6%の高めの水準でしたが、近年では3%前後となっています。

3. 女性の完全失業者数

続いて、女性の完全失業者数について眺めてみましょう。

図4 日本 女性 完全失業者数
労働力調査 より

図4が女性の完全失業者数です。

男性のグラフと同じような傾向ですね。

日本 女性 完全失業者数
1970年 21万人
1980年 43万人
1987年 69万人
1990年 57万人
2000年 123万人
2010年 128万人
2019年 66万人
2021年 78万人

図5 日本 女性 完全失業者数 年齢階級別
労働力調査 より

図5が年齢階級別のグラフです。

2002年のピーク時に最も多い完全失業者は25~34歳となっていて男性労働者の傾向とは異なるようです。

結婚や出産といったイベントで完全失業者となる人が増える年齢階級なのかもしれませんね。近年では35~44歳の年齢階級でも高い水準となっています。

逆に男性では高い水準の55~64歳の完全失業者数は少ないようです。

大変興味深い傾向ですね。

4. 女性の完全失業率

最後に女性の完全失業率について見てみましょう。

図6 日本 女性 完全失業率 年齢階級別
労働力調査 より

図6が女性の年齢階級別 完全失業率のグラフです。

やはり1990年代~2010年代で高い時期があったようです。

男性と同様に15~24歳の完全失業率が高い傾向ですね。

男性と異なるのが、25~34歳で高く、55~64歳で低いという傾向です。

5. 日本の失業率の特徴

今回は男女別、年齢階級別に完全失業者数と完全失業率を眺めてみました。

・ 完全失業率は男性も女性も近年では減少傾向で3%程度
・ 男性は15~24歳、25~34歳、55~64歳で完全失業率が高め
・ 女性は15~24歳、25~34歳で完全失業率が高め

年齢階級別にみると、男女で傾向が異なるようです。

34歳未満の若年層では卒業後に就職がうまくできず完全失業者となる人が多い事が考えられそうですね。

女性の場合はさらに結婚や出産のタイミングで完全失業者となる人が加わるのかもしれません。

男性の55~64歳で比較的完全失業率が高いのは、リストラ等により再就職が困難な人が多いのかもしれませんね。

日本は失業率が低いと言われますが、次回は失業率についての国際比較をしてみたいと思います。

皆さんはどのように考えますか?


編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2022年12月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。