日本経済新聞の報道によれば、先月の東京都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)の中古マンションの平均売り出し希望価格が70平米換算で1億円を超えたそうです(図表を元記事で読む)。
都心部の不動産は値上がりが続いており、これは14カ月連続の価格上昇です。
かつては1億円を超えるマンションは「億ション」と呼ばれ、日本人の憧れの的でした。しかし、今や東京都心部では1億円では満足できる物件は買えなくなりました。
図表を見ればわかるように不動産価格の上昇は、東京だけではなく一都三県でジリジリと続いています。
これは日銀の金融緩和の影響と考える人も多いようですが、もう一つの要因として貨幣価値の下落があるのではないかと思っています。
不動産が上がっているのではなく、円の価値が下がっているのです。
これからも、円の通貨価値が下がると思えば、今のうちに不動産を購入した方が良いという判断になります。
最近では、ブルゴーニュワインやシャンパンなどの酒類も大幅な価格上昇となっています。
不動産だけではなく、実物資産全体にお金が流れ込み、価格が上昇しているのも、このように考えれば納得できるのです。
しかし、価格に妥当性を感じるから購入するのではなく、将来上がるから今のうちに買うという発想は、昭和のバブル期にもよく語られたパターンです。
その昭和バブルは、日銀の金融政策の転換がきっかけで崩壊しました。
今回の日銀の金融政策の変更は、前回と同じ道を歩むきっかけになるのか。今後の金融政策の動きから目が離せなくなってきました。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年12月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。