テスラ・アマゾンの夢はとっくに終わっている:株価まだ下げ止まらず

中国のコロナ感染者が凄いことになっているようです。ただ、「凄い」の中身がさっぱりわかりません。ある報道では感染者100万人以上死者5000人越えですが、別の報道では12月20日までに約2億5000千万人というものまであります。報道で共通して言えるのは春節まで増え続ける点で、中国コロナを国内で封印できるかが一つの焦点となるかもしれません。習近平氏の180度方針転換で過去3年近く規制しまくった努力は何だったのか、聞いてみたいです。いずれ政権幹部にもコロナがまん延するでしょうが、その時どういう態度をとるのでしょうか?習氏はもう、コロナから逃げられません。

では今週のつぶやきをお送りします。

散々な市場は続くのか?

申し訳ないほどふらつく株式市場。このところの悪役はテスラ株で9月から既に半値以下になっています。そもそもテスラ株の夢はとっくに終わっていて、私もだいぶ前にこれから下げると予告しました。PEレシオからは今後、更に2-3割下げても驚かないです。その次の売りのターゲットは年初来安値に手が届きそうなアップルかもしれません。1年以上前に申し上げたアマゾンの終わりについてもようやく信じてもらえたでしょうか?株価は今年のピークから4割以上下げ、まだ下げ止まった感じはありません。

lerbanki/Stock

ただ、個人投資家や機関投資家、ファンドがこぞって好む大企業だけが株式投資のターゲットではありません。地味な会社、ダメダメと言われ続けた会社、話題性に乏しい会社などの中でしっかりした動きを維持している企業も多いのです。私の得意分野は資源関係ですが、好調ですし、年初来高値を付けている手持ち銘柄もいくつかあります。結局、人の推奨ではなく、自分の先読み能力次第だと思います。

良いニュースとしては北米のインフレは確実に鎮静化している点です。まだ、道のりは長いですが、住宅関連の値上がりが収まってきたため、物価指数では12月分と1月分で反映されるでしょう。次のFRBは1/31から2/1です。現時点での私の予想は0.25%の引き上げでその次の3月は一旦立ち止まる公算があるとみています。人件費が下がらないため、企業のリストラの嵐が春に吹き荒れるかもしれません。雇用統計も一度、じっくり見直してみたいです。なにか読み違いがあるような気がしてなりません。

ゼレンスキー大統領の決意

アメリカを訪れたゼレンスキー氏はバイデン大統領との会談や議会での演説を通じて思いを伝え、当面の支援継続を取り付けました。なぜ、アメリカだったのでしょうか?欧州大陸のほうがはるかに切迫感がありますが、欧州各国は目立った動きをしません。一時期はロシアと国境を接している国々から悲鳴のような国防方針が数多く聞こえてきましたが、最近は落ち着いているようにも見えます。

アメリカはロシアとの経済関係が完全に遮断されても痛くもかゆくもありません。一方欧州は天然ガスをロシアに頼らない準備を進めますが、歴史的な結びつきはそんなにシンプルではありません。踏み込めない、それが正直なところで、マクロン大統領の融和策、軟弱外交姿勢がその複雑さを物語っています。ではアメリカは何と戦っているのでしょうしょうか?正義だろうと察します。勧善懲悪は日本も好きですが、アメリカ人も大好きなのです。

一方のプーチン大統領。このところ、あちらこちらに動き回っているようですが、その意味は形勢不利故に自らが動く必要に迫られているからでしょうか?また、最近「すべての紛争は外交で終わる」とし、「話し合いをしないのはウクライナだ」と述べています。言葉通りには取りませんが、落としどころを探り始めた気配も見て取れます。次のステージではロシア国土が戦場になる公算があり、そうなればプーチン氏の立場は非常に苦しくなります。故に攻撃の手は緩めないものの、幕引きの機会も考えはじめたようにも感じます。

人のふり見て我がふり直せ…

採用面接をしていたところ、たまたま二人続けて「偉くなりたくない(=ヒラのままがいい)」という方に出会いました。理由を聞いたらマネージャーを見ていて大変そうだからああなりたくない、と。私が会長をやっているNPOの来年の新規理事候補を探していたのですが、見事に振られました。「理事なんてとてもとても」と。傍で見て大変そうだと思ったようで「自分の仕事も十分にできないのにNPOの理事など引き受けられません」と。

悪戦苦闘してもがいている自分の上司を見れば見るほど「俺、いやだよ、あんなの」になるのでしょう。課長職は私の経験でも一番嫌なポジションでした。若手から中堅までの部下を抱え、様々な突き上げがあり、一方で部長や本部長あたりからは業務指示が飛びます。私も課長経験は長かったのですが、ほとんど部下がいなかったのが救いといえば救いでした。

一方、北米の企業の課長は格好いいと思います。もちろん、責任もありますが、かなり権限や主導権を持っているからでしょうか?物事を丸く収めるというより改善し、伸ばそうとし、常に前向きで論理思考が強いのだと思います。日本企業が出来ないわけではないのですが、「でも…」という相反する意見が相次ぐのです。最近思うのは「でも…」を撃破するのが課長の仕事ではないか、つまり論破王はひろゆき氏だけではなく、全ての課長が身につけたらどうかと思います。「ほう、やるねぇ」と格好いい課長なら「私もマネージャーになります!」という上昇志向が生まれそうな気がしますがさてさて。

後記
カナダは10年に一度の大寒波と雪でバンクーバーでも雪かきに追われています。横断歩道の雪をかいていたところ、「君はそこまでやる責任があるのか?」と通行人に聞かれました。私の答えは「責任の問題ではない。誰かがやらないとこの横断歩道を通る人は歩きにくい思いをするでしょう」と。北米では何かにつけて責任の所在を基準に考えます。私はそういう杓子定規なものではなく、もっと普遍的で社会参加者としての良心が大事だと思います。この国の人からそういう気持ちが失せたのだとすれば残念に感じます。北米はいいところもありますが、ダメなところも多いのです。アイデンティティが宙ぶらりんな私だからこそよく見えるのでしょう。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月24日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。