憲政の神様と言われる尾崎行雄先生の理念を基に、議会制民主主義の確立と世界平和の実現に寄与すべく設立された尾崎行雄記念財団から、拙著『日本の総理大臣大全』が「咢堂ブックオブザイヤー2022・総合部門大賞」をいただけると発表がありました。
関係者に御礼を申し上げます。
この財団は、尾崎行雄先生と三女で平和活動家の相馬雪香(そうまゆきか/2008年逝去/咢堂塾創設者)は民間の立場から、それぞれ日本と世界のために尽くされました。
財団は、この二人の信念を広めつつ、民主政治の更なる発展に努める事業をされています。相馬雪香先生には、20年ほど前にお会いしたことがあります。
ホームページに授賞理由としてあげられているのは以下の通りです。
総合部門の八幡和郎氏『日本の総理大臣大全』は、1855年の伊藤内閣発足以来101代にわたる総理大臣を通じて、それぞれの内閣が直面した課題と事績、当時の時代背景などを学ぶことができ、「わが国の政治史を総覧できる」点が圧倒的な支持を得ました。近年の当財団・咢堂塾では憲政史の講義にも力を注いで いますが、「ぜひ副読本にしたい」という激賞や、また有権者に対する諫言で結ばれた巻末エピローグにも「ここが何より良い」という声がありました。
また、上記のエピローグの結びも掲載させていただきます。
政治家としての一番大事な勇気は国民に苦いことを言えること
政治家としての本当に大事な勇気は、国民に対しても、外国に対しても、さらには皇室などに対してもだと思うが、あえて嫌なことを言って、実行に移す勇気だ。
なにしろ、平成日本では何をするにも強制しない。あるいは、何かを推進するためには、ひたすら飴を与えて鞭を振るうことばかりだ。マイナンバーカードの取得でもワクチンの接種でも、それを強制しさえすれば、余計なコストもかからずに済むのに、飴だけでは、コストもかかるし、時間がかかる。
さらに、兵役の義務が潜在的にすらなく(徴兵制を現在とっていない国でも潜在的には義務はあるというのが当たり前だ)、警察の犯人逮捕、消防、自衛隊の災害救助に市民は協力しようとしないし、コロナ禍のような非常時でも医療従事者を十分に動員できない。
期限内に手続きや支払いをしなくても、公的扶助などの権利を失うことも少ない。一方、福利厚生は、しばしば欧米で考えられないほど高水準だ。
そのうえ、虫のいい経済理論が流行って、財政規律にも無頓着だ。こういう甘ったれた国民相手に、分配を公正に行うから、成長にベストを尽くさなくとも生活を改善できるという気にさせるのは、かなり危険だ。
日本の政治家は国民を甘やかしすぎだ。国民が知りたくないような真実を取り上げ、国民に自覚を促し、果敢に取り組む首相が今求められているのだと思う。
そもそも、選挙のときに、頭を下げたり、土下座して、「私を当選させてください」と「お願い」するのは、欧米ではあまりない。
「国があなたのために何をしてくれるのかを聞くより、あなたが国のために何を成すことができるのかを問うてほしい」というのは、ケネディ大統領の就任演説の有名な一節だが、そのくらいのことを言える勇気ある指導者こそが求められているのだと思う。
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