新春に2023年「ひろの10大予想」を皆様にお届けする予定ですが、年が変わる前に2023年、先が読めない10の問題について皆様と考えてみたいと思います。もちろん、これら10の問題にはひろの10大予想と被るものもありますが、皆様にとって関心が高いものは皆さんと一緒に考えることが何よりだと思っています。
では、先が読めない10の問題です。
1. トランプ氏は本気で大統領選に臨むのか?
ない。立候補するのは本人の自由だが、国民はそっぽを向く。トランプ風ピリ辛味にはまった人たちもそのテイストに飽きて、新しい時代の新しいリーダーを探すであろう。アメリカは80歳のリーダーが君臨するより50代の若々しさこそ次の時代のアメリカを作り出すと期待するだろう。そもそも国が割れたのは選択肢に年寄りしかいなかった点に未だに十分な議論がない。
2. イーロンマスク氏のツィッター買収は間違いだったか?
間違いだった。私はマスク氏の才能はツィッターではなく、宇宙やハイパーループの開発の方がはるかに似合っていると考える。そもそも氏は天才肌と努力人の混合型だが、不器用、口下手なのでメディアに取り上げられ、いじられやすい。その上、賢い人にありがちの3歩も5歩も先を読みすぎだ。ツィッターを介して投票で決めようというのは「民主主義ごっこ」にしか見えない。ツィッターの6兆円は惜しくないが、それもあってテスラの時価評価を1年間で90兆円以上も悪化させた方がはるかにたちが悪い。
3. ウクライナ問題の停戦はあるのか?
ありうる。プーチン氏は幕引きを選択肢として考えている。ゼレンスキー氏の戦うのみという姿勢にもそろそろ異論が出そうだ。ウクライナ国内のインフラや経済はボロボロ。22年のGDPはマイナス30%を超えそうだ。これ以上続ければ国家としての体をなさなくなる。但し、講和にはならないだろう。なぜならそれはロシアにとって莫大な戦後賠償を意味するからだ。いわゆる休戦か停戦で「不仲な兄妹関係」を続けるのかもしれない。
4. 習近平氏は思惑通り国内を統治できるのか?
相当苦戦する。最大の問題は取り巻きの悪さだ。強い政権とは国内に政敵がいるからこそ強くなれる。敵がいないと判断が間違っていても誰も指摘しない裸の王様化するだけだ。習氏ひとりでは統治できない。但し、国内経済は今までが悪すぎたので数字上の回復は当然ありうる。不動産業界も回復途上となる。当面は外交より内政に力を割かねばならないだろう。台湾問題は水面下での動きとなり、24年1月の台湾総統選にどう影響させるか、スパイや思想教育が暗躍しそうだ。
5. 北朝鮮は核を脅しにつかう時が来るのか?
来るだろう。彼らにはこれしかないのだ。ただ、脅してスポットライトを浴びたいだけなのか、アメリカに何か要求したいのかここがわからない。そもそも何故アメリカであって、中国ではないのか、これも不思議。冊封関係で中国には頭が上がらないが、アメリカとは対等で話ができると思っている節はある。怖いのは脅しのつもりで飛ばしているミサイルが誤って地上に落ち、被害が出ることだ。その場合、想定外の展開は起こりうる。歴史を紐解けばよくわからない理由から戦争が始まることはよくあるのだ。
6. 岸田首相はあらゆる批判に耐えられるのか?
耐える。岸田氏はこの数か月で変わった。打たれ強くなった。萩生田氏に煽られて衆議院解散の可能性まで言及したということは勝負に出るという意味だ。岸田氏は国内では寂しい思いをしても外交でちやほやされている。1月はワシントン、スイスのダボス会議、更には欧州外遊に行くではないか?1月は2週間も面倒な国内を不在できる。そして通常国会は1月27日開催で調整となれば外遊でエネルギーを蓄えて足を引っ張る閣僚もそぎ落とし、広島サミットに向けてGOだ。
7. 仮想通貨は生き残るのか?
生き残る。無くなると考える方が野暮だ。それはブロックチェーンという考え方が現代社会に極めてマッチしているからだ。食の安全と称してその製造者を確認したり、原産地をチェックするのを良しとするなら通貨がどのように経てきたのか知るのはナチュラル。中央銀行だけがマネーを管理するという仕組みもいずれ変わるのかもしれない。政府通貨と共存共栄となろう。
8. 景気後退は深いものになるのか?
ある程度の深さとなる。現時点までの株価指数の動向がリーマンショックの時とあまりに類似しすぎている。その時はこの後にドスンと落ちた。今回の場合、高金利故に企業の資金繰りが詰まる公算がある。また、不良債権が増えている銀行は追い貸しできない。金融システムが壊れることはないだろうが、2000年代初頭のITバブル崩壊ぐらいの衝撃はあろう。また、その回復に時間がかかりそうだ。理由はアメリカ、欧州、日本、中国、新興国がコロナの余波もありまだ足並みが揃っていないからだ。後年、人は「コロナバブル崩壊」と呼ぶのだろうか?
9. 日本再興のチャンスはあるのか?
萌芽はある。それは経営者の主軸が「俺たちバブル後の入社組」に代わるからだ。新しいことをやらねばならないという機運は見える。ただ、社会全体、雇用や賃金、企業の在り方などがもっと揉まれる必要がある。その間、古い経営者の会社の事業閉鎖や売却が加速度的に進み、リフレッシュされるだろう。ただ、何度も言うが、少子化のこの国で内需主導ではもうダメ。ある意味、韓国が2-30年前に苦しみ、出した解、海外での生き残りの道を日本も歩むことになろう。
10. 民主主義VS権威主義の行方は?
民主主義の分がまだ悪い。この数年、ずっと民主主義とは何か、というテーマの議論が延々と繰り広げられたがごく一部の人しか関心を示さなかった。民主主義とは自由気ままという意味ではない。民が民を監視し、それを政府が制御する歯止めがある。権威主義は官が民を監視し、制御より罰することで色を統一化させることだ。だが、権威主義の国家が増えているのは人が完全自由であるよりある程度の制約があったほうが楽だからだ。アメリカで芝刈りせず、庭が荒れ放題だったら近隣から苦情が来る。だからきれいにする。民主主義の国でも完全自由な社会などほとんど存在しない。要は制御方法の問題であろう。
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2023年、先が読めない10の問題、他にも問題はいろいろあると思いますし、異論も多いでしょう。よいのです。考えるということが必要で、答えは無数にある、その中で自分がなぜ、そう思うのか、という確固たる意志を示すことが重要なのです。来年のことを完全に言い当てる予言者はいないのです。ですが、それらの問題を心に止めおきながらあたしい年を迎えたいと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年12月30日の記事より転載させていただきました。