コンビニ家庭ゴミ持ち込みはマナー違反ではなく犯罪

黒坂岳央です。

「コンビニに家庭ごみを捨てないで」というツイートが反響を呼び、多くの人が「コンビニに家庭ごみを捨てていくのはマナー違反ではなく、犯罪だ」と声をあげている。

日本人はゴミ問題について、グローバルに高い評価を受けてきた。自主的にゴミ拾いをしたり、街なかはゴミ箱がないのに空き缶一つ落ちていない。日本の街をアクションカメラで散歩する動画には、「Japan is amazingly clean(日本はとてもきれいだ)」とコメントが付けられている。だが、そのゴミの行き先はコンビニ店に設置されたゴミ箱である。日本人のモラルをもう一度問い直す時が来ている。

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ステンレスの水筒や炊飯器まで捨てていく

コンビニゴミ問題は日常的によく見る光景である。筆者がコンビニやスーパーを利用する時にも、店員が見ている前で堂々とゴミを捨てていく利用客を目撃することはよくある。目の前でゴミを捨てても店員に注意などできない。店員の多くはアルバイトの若者や主婦であり、もしも注意をして逆ギレされると考えれば恐ろしくて言えないだろう。本当に気の毒である。

ゴミ箱には「家庭ごみの持ち込みはご遠慮ください」と注意書きが貼られているため、捨てていく利用客は店員を見て捨てているはずだ。仮に、店員が強面の男性ならこれほど堂々と捨てていけるだろうか?そう考えると極めて狡猾かつ稚拙な行動と考えざるを得ない。

件の投稿はYahooニュースに掲載され、付けられたコメントには「炊飯器や焼け焦げ場クッキー缶、使用済みオムツまで捨てられている」とある。これはマナー違反の粋を超え、不法投棄という犯罪行為である。筆者が実際に見たのはステンレス製の水筒の廃棄であった。

現役コンビニ店員からの意見によると、若者や子供の方が圧倒的に節度があり堂々と捨てていくのは高齢者だという。そしてそうした利用客ほど、敷地内のタバコのポイ捨てまでしていく「招かれざる客」だという。

コンビニはゴミ処理にコストがかかる

家庭ごみをコンビニのゴミ箱に捨てていく利用客が知らない事実に、コンビニ側はゴミの処理にコストと手間をかけているということだ。

事業者としてゴミの廃棄をするのは事業系一般廃棄物としての処理コストがかかる。記事に寄せられたコメントの中には、現役コンビニ経営者からのもあり5万円かけているという投稿も見られた。

また燃えるゴミにステンレス製の家電製品などを捨てられてしまうと、そのゴミの分別はコンビニ店員がすることになる。経営者側には余計な作業をするための人件費がコストとして跳ね返ってくる。家庭ごみを捨てられるコストはコンビニが払わされているのだ。

不法投棄をどう解決する?

現状、このゴミの不法投棄はコンビニ側が泣き寝入りする格好となっている。どうすれば防止できるのだろうか?

最悪のケースはコンビニから大型のゴミ箱が撤去されてしまうことだろう。コンビニコーヒーを設置する店舗には、コーヒーメーカー付近に小さなゴミ箱が置かれていることがあり、このような小さなゴミ箱で対応して大型ゴミ箱を撤去するのだ。しかし、これは家庭ごみを持ち込まない、多くの利用客の利便性を損なうことになる。一部の問題行動が利用客全員の利便性を損なうのは、トータルで見て望ましい結果とはいえない。

もう1つの解決策はもっと強い警告を出すことである。筆者が利用するある店舗では「家庭ごみの持ち込みは通報します」という旨の強い警告が書かれているところがある。その店舗を利用する上で家庭ごみと思しき不法投棄は見たことがない。ハッキリと「家庭ごみ持ち込みは犯罪なので通報する」と書いておくことは一定の効果が期待できる。

公共マナーをモラルに委ねることには限界がある。日本人は世界最高峰のマナーと道徳を持っているのは事実だが、どうしても例外はある。その一部の例外が社会全体のマナーを破壊してしまうなら、警告を出すなりで行動を抑制するしかないだろう。

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