Counter-question
質問に回答せずに逆に質問することで論点から逃げる
<説明>
「逆質問」とは、不都合な質問に対して回答する代わりに、質問者に目くらましの質問を行い、論点を回避するものです。狡猾なマニピュレーターは、自分の防御のために相手を攻撃して論点を無効化します。まさに「攻撃は最大の防御」という勝負における常套戦略であるカウンター攻撃を行うものですが、そもそも議論は勝負ではなく、物事の真偽を明らかにするためのプロセスです。相手を攻撃して目くらましをしたところで真偽を変えることはできず、一時しのぎにしかなりません。
論者Aが論者Bに質問QAをする。
論者Bが質問QAに答えず、論者Aに別の質問QBをする。
質問QAが成立しない。
<例>
<例1>
先生:今日も遅刻しましたね。また寝坊ですか。
生徒:先生は寝坊したことがないのですか?
他愛もない[お前だって論証]の変化形です。
<例2>
一般人:先生、そのご意見は納得できません。合理的な理由を教えて下さい。
著名人:君は私を誰だと思っているのか?
ありがちな会話です(笑)
<事例1>都知事の国政進出
<事例1>フジテレビ『みんなのニュース』2017/09/28
アナウンサー:都知事になってから小池都知事は国政に関わることはずっと否定をしてきたように思います。
小池百合子都知事:はい当然です。
アナウンサー:しかし「私が積極的に絡んでいく国政政党の代表です」というのは都政軽視ではないかという声にどう答えるのですか?
小池百合子都知事:どうしてですか?論理的に説明してください。
アナウンサー:「都政に全身全霊を捧げるんだ」と。二足のわらじで、事実知事として出席する予定だったイベントのキャンセルがあったと伝えられています。全身全霊で都政に向くという言葉が裏切られたという声も事実あると思いますが。
小池百合子都知事:あなたも裏切られましたか?
小池都知事は「国民政党の代表であることが都政軽視ではない」という言説に対する論理的説明を回避しています。
<事例2>どうしたら貧困をなくせるか
<事例2>小泉進次郎議員 Official site 2022/09/04
つくば市で気候変動対策フォーラムに登壇。(中略)質疑応答では、会場に来てくれた子どもたちとのやり取りがありましたが、特にエイタ君とのやり取りが印象的でした。
エイタ君「どうしたら貧困をなくせますか?」
私「エイタ君は何歳?」
エイタ君「8歳です」
私「どうしてエイタ君は貧困について考えたの?」
エイタ「SDGsの本を読んで考えるようになった」
私「その本とはどこで出会ったの?学校?」
エイタ「家でお母さんが持っていて読んでみた」フォーラム終了後にエイタ君や子どもたちと写真を撮りましたが、次世代への責任と希望を感じる時間になりました。
エイタ君は小泉議員の逆質問にまんまと引っかかってしまいました(笑)。小泉議員の逆質問は子供騙しの詭弁であり、次世代への無責任と絶望を感じる内容です。「どうしたら貧困をなくせるか」について、もし考えがあれば回答し、もし考えがなければその旨伝えることが質疑応答のルールです。
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公式サイト:藤原かずえのメディア・リテラシー