林真理子さんの「成熟スイッチ」を読んでいたら、ワインについての話が出てきました。
「ワインは恐ろしい魔物」というのが林さんの意見です。大好きなワインを飲めるとなると、自分の欲望や卑しさが露呈してしまうと言うのです。
例えば、レストランでご馳走してもらう時、好きなワインを頼んで良いと言われて、自分では飲めないような高級なワインを注文してしまう。
あるいは、めったに飲めない貴重なワインや、自分が大好きなワインが飲めるとなると、吸い寄せられるようにホイホイ出かけてしまう。
私もそんな経験をしたことが何度もありますので、気持ちは良く分かります。
素晴らしいワインをご馳走になることもありますが、私のような世代になると、貰いっぱなしでは人間性が疑われます。しっかりお返しをすることで、借りを作らないように努力しています。
また、持ち込みのワイン会などでご一緒する場合は、他のゲストの方とバランスを取ってワインを持参するように考えます。
あまりワインに詳しくない方が集まる場合は、良く知られた有名なワイン。ワインの知識が豊富で好みのある方には、それに合わせた銘柄をセレクトするようにしています。
といっても、私自身もそれほどワインに詳しいわけではありません。ソムリエやワインショップの専門家に相談して購入して、持参することもあります。
まだ経済的に余裕がない若者や、ワインを仕事にしているワインバーのスタッフなどであれば、もらいっぱなしでお返しができないのは、仕方ないのかもしれません。
しかし、人から恵んでもらったワインを、あたかも自分のもののように「凄いワインを飲みました!」などど、SNSに自慢げに掲載しているのを見ると「なんだかなぁ」という気分になります。
高級ワインをお金持ちにねだり、人からもらってばかりいる人のことを、密かに「ワイン乞食」と呼んでいます。
自分で手に入れた訳でもないそんなワインを、インスタグラムなどにアップするのは、自分が卑しい人物であることを公言しているようなものです。
かく言う私も決して品性の高い方ではありません。気がつかないうちに、ワイン乞食にならないよう気をつけようと思います。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年2月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。