「ベクトル合わせ」で実現する新しい資本主義

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私が海外不動産投資でお世話になり、株主でもあるインベスコア社(リンク先はグループ会社のインベスコアジャパン)の事業説明会に参加しました。

インベスコア社は国内とモンゴルをはじめとする中央アジア諸国でビジネスを展開するユニークな企業です。

グループ会社のインベスコアNbfiはモンゴル証券取引所に上場し、株価は上場来3倍以上に急上昇しました(図表)。今やモンゴル証券取引所で時価総額第3位となっています。

今回は共同創業者の久保さんとのパネルディスカッションに登壇する機会があり、皆様の前でお話をすることができました。

説明会の後半は、久保さんの講演でしたが、その中で印象に残ったのは「ベクトル合わせ」の大切さです。

事業会社は利益を留保したがり、投資家は配当を求めるというように、2者の関係は利害対立することがあります。

あるいは、会社はコスト圧縮のために人件費を抑えようとし、従業員は高い給与を求める点で利害が対立します。

このような当事者同士のベクトルのズレは、その交渉や調整に時間がかかるだけではなく、お互いを疑心暗鬼にしてしまい、不必要なコストがかかることになります。ビジネスの効率性を低下させることになるのです。

お互いがお互いを信頼することができない、「囚人のジレンマ」状態を作ってしまいます。ベクトルが合わないことは、当事者全てにとって結局デメリットになってしまうのです。

事業者、投資家、従業員といった当事者が同じ方向を向いて、価値を共有できれば、むしろお互いの満足度を高めることができる可能性が出てきます。ただし、これは簡単なことではありません。

インベスコア社が目指すのは、当事者がベクトルを合わせることによって、より効率的なビジネスモデルを構築する事です。

そのための前提になる事業の確実な成長を実現するため、久保さんは会社の事業計画の達成にコミットすると宣言。将来の事業モデルに対する並々ならぬ自信と決意を感じることができました。

今までの資本主義を超えた新しい当事者の関係が生まれる予感を感じさせる、今までにない印象的な事業説明会でした。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年2月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。