経済ばかり優先して来た日本のツケ
経済成長ばかり優先して来た日本で余り顧りみられていないのが貧困者の現状だ。貧困層が放置されている現在の日本社会を反映している会話の例を「消える命の灯(ともしび)とは」というタイトルのレポートの中に筆者は見ることができた。
その中で言及していることを筆写すると、『昔の日本では、修学旅行に行けない子供に「なんとか一緒に行けるように」と先生たちが骨を折ることが多かったそうですが、現在では「お金も払ってないのに、一緒に連れて行ってあげてもかわいそうな思いをするだけ」という建前論で問題があれば放置することが当たり前になっており、それは、いま、大変な思いをしている貧困状態の子供たちには関係がありません』という指摘だ。
正に、この建前論でしか貧困者を見ることが出来なくなっている日本人が多くいることが今の日本の社会である。それは大きな都市でその傾向が強い。
日本の貧困者の多さはG7で2番目
金銭的に困っているのが「相対的貧困」、そして生活全てにおいて貧しい思いをしているのが「絶対艇貧困」と定義づけられている。
相対的貧困者で見ると、日本はG7の中で米国に次いで貧困者が多い国となっている。米国が18%に対し、日本は15.7%。7人に1人が貧困者ということになる。このような現実をこれまで日本社会では無視し続けて来た。G7の他の5ヶ国を見るとイタリア14.2%、英国12.4%、カナダ11.6%、ドイツ9.80%、フランス8.40%という順になっている。
260万人の子供が貧困にある
子供(18歳未満)の方に視線を移すと、2019年の時点で相対的貧困だと13.5%。G7では米国とイギリスに続く子供の相対的貧困が多い国である。その数はおよそ260万人。
その内のおよそ半分の子供がひとり親世帯だという。
このような子供たちが抱える問題として多くの子供が十分な食事を取れないというのが現状でとしてある。それを解消する為に全国で「子ども食堂」というのが増えているそうだ。そこでは無料または低料金で子供が温かい食事を口にすることができるようになっている。
また学校の給食が唯一の食事という子供もいる。只その場合でも問題は給食費が払えない貧困家庭もあるということである。それに学校が夏休みなどで長期の休校となると、温かい食事にありつけないという問題がある。その意味でも「こども食堂」というのが重要な意味を占めている。
また夜遅く帰って来るの親に代わって「放課後児童クラブ」とういうのも存在している。
外国に視線を移すと、筆者が日本の将来を映し出している国(経済的に世界トップの一カ国から100年で経済的苦境に脱落)アルゼンチンをよく引き合いに出すが、昨年の同国の上半期で14歳未満の子供の51%が貧困に苦しんでいると指摘している。その数はおよそ550万人。
これから20年先には厳しい経済事情を抱えることになる日本では、その時点になるとその最大の犠牲者となるのが子供であろう。筆者はそれをアルゼンチンに見ることができる。現状の長期経済成長の無い日本を観ると、この比較は筆者には非現実的とは思えないのである。