日本経済新聞電子版によれば、福岡市でマンションの価格が上昇しているようです(図表も同紙から)。住宅流通新報社のデータによると、福岡市中央区で2022年に売り出されたマンションの坪単価は320万4000円となりました。これは前年比で17%、10年前の2013年と比べると2.03倍という急上昇です。
坪単価300万円台前半というと、東京でも練馬や板橋といった地価の比較的安いエリアよりも高い水準です。東京都中央区にある、あの「晴海フラッグ」は割安物件とは言え、同じ水準になります。
福岡と東京の中央区の物件が同じ価格水準という不思議な状況になっているのです。
といっても、福岡が割高になっている訳ではありません。
東京のマンション価格が上昇するにつれ、それ以外の福岡や大阪、京都、名古屋といった中核都市の価格に割安感が出て、購入希望者が増えていることが、背景にあると思います。また、建築資材の高騰によって、今後もマンション価格は上昇が続くとみる購入者の相場観も、需給関係に影響しているのです。
昭和の不動産バブルの再来という「嫌な予感」を感じる人も増えています。不動産投資をしている個人投資家の中には、一旦保有している物件を売却してしまったという人も出てきています。
確かに、金利の上昇は不動産には逆風です。ローンを借りて不動産を購入し返済金額が大きくなったら返済できないリスクがあると考えるのは自然かもしれません。
しかし、昭和の不動産バブルと異なるのは、ファミリータイプのマンションには投機的な資金が大量に入ってきている訳ではないという違いがあります。パワーカップルと呼ばれる共働き夫婦が賃貸よりマイホームという選択をして購入しているケースも増えています。
また、昭和の不動産バブルの時は、住宅ローンでも借入金利が5%を超えていたと記憶しています。都心のマンションの賃貸利回りは、それより遥かに低く、いわゆる「逆ザヤ」になっていました。
それでも購入するのは、ずっと価格が上がり続けるという「キャピタルゲイン幻想」があったからです。
現在は賃貸利回りよりは低い「順ザヤ」ですから、不動産を取り巻く環境は随分異なります。
東京の不動産が高止まりしている中で、今後は地方の中核都市の利便性の高い立地のマンションに人気が集まり、更に価格上昇するのではないかと思っています。
東京以外でも、好立地のマンションはコツコツ真面目に仕事をしているだけでは手に入らない「高嶺の花」になっていくことになるでしょう。
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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年2月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。