国家が維持できない韓国人口問題の行く末:合計特殊出生率0.78の衝撃

隣国の話だと思ってはいけません。いつかは我が身にも降りかかってくる話題です。

2022年の韓国の合計特殊出生率がなんと0.78になったと発表になりました。22年に生まれた子供は24.9万人で前年比4.4%減。また、ソウルの出生率は0.59,釜山が0.72、更に22年に結婚した人の数は19.1万人です。当局は24年の出生率は0.70になると見込んでいます。

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世界200カ国中最低の出生率を大幅に更新し続ける同国が物語るのは韓国の人口予想が恐ろしいほど暗い未来である点です。現在の韓国の人口は5164万人で公には2100年の予想は2678万人になると予想されています。さてこの予想通りの数字になるでしょうか?

出生者が2022年に25万人でその半分の女子が30歳になり0.7の出生率と仮定すると生まれる子供は8.75万人でうち女子が4万4千人です。その女子が30年後に生む子供の数は3万人で女子は1.5万人。その30年後は男女合わせて1万人しか生まれてません。単純計算で90年後には今の出生者の25分の1しか生まれないのです。

2022年に25万人生まれ、90年後は1万人生まれるのでストレートラインで人口が減少するとすれば(25万-1万)÷2+1万=13万人が今後90年間の平均の出生者数です。平均寿命を85年とすれば2102年には当局が予想する2678万人どころか、なんと1100万人しかいないことになります。(これほど単純計算ではないはずですが、根本が違っていたらご指摘ください。)

イーロンマスク氏は昨年、「3世代のうちに人口が今の6%になる」と呟いたのですが、私の3世代後の暫定の計算はそれより上回ります。ただし、この計算には相当の補正が必要であり、その補正値はあまりにも与件が複雑で想像の世界にしかなりません。

では補正の考え方について少しみてみましょう。

一つ目に出生率0.7が維持できるのか、これが今後、もっと下回るとこの計算よりもっと早く人口減少が進みます。韓国の低出生率は社会的背景が大きいとみています。韓国伝統の住宅問題など結婚するためのハードルが高いこと、婚外子(非嫡出子)の世界ランクでは韓国と日本がその最下位レベルで子供を作るのには結婚が前提になっていることは大きな要因です。更に兵役義務がその障害になっているという意見もあるし、そもそも北朝鮮と休戦状態でいつ何時何が起きるかもしれないという不安が棄民として国外への脱出を促す理由の一つにもなります。

もちろん、経済全般の不満もあるし、地方と都市部の格差問題もあります。

韓国人の国外脱出組が加速する可能性は地政学的問題だけではありません。高齢者ばかりの国家を若者が支えるのは無理なので将来ある若者は国内に留まり高齢者を支えるより海外で活躍した方がよいと親が勧めることもあるでしょう。あるいは親が子を海外移住させ、自分たちも海外で養ってもらうという考え方もあり得ます。

韓国社会は閉塞感が強く、ソウル大学と財閥系企業への勤務の道が叶わないなら海外で起業するか、プロフェッショナルなスキルを身に着けさせるのは伝統的ともいえます。韓国がいくら経済成長をしているとか、一人当たりのGDPで日本と競り合っているとしても、分母の人口が少なければ一人当たりのGDPが多くなるのは当たり前でそれが健全な社会を形成しているとは思えないのです。

では人口が突如増える可能性は無いのでしょうか?なくはないです。最も可能性があるのが北朝鮮と一緒になり、統一されること。これで統一朝鮮の人口は7500万人になります。ですが、仮に統一が起きるとすれば韓国人の海外逃避傾向はさらに強まるとみています。つまり、高齢者の面倒を見るだけではなく、北朝鮮出身者の面倒まで見られないという逃避です。

もう一つの可能性はあまり考えたくないですが、朝鮮半島で戦争が起きた場合です。種の保存の原則に立てば「有事の子だくさん」は起こり得ます。ただ、現代社会でもそれが通用するか、これは分かりません。

例えばウクライナの場合はまだ戦争から1年なので気がついていないと思いますが、同国は今、男性は国外に出られない為、家族と別れて暮らしていることも多く、出生者数はこれから少なくとも1-2年の間、衝撃的な減少になるとみています。22年1-11月の出生者数は前年比24%減程度に収まっていますが、23年度は前年比5-7割減になってもおかしくないとみています。但し、戦後についていえば、祖国再建のため「産めよ増やせよ」となれば「有事の子だくさん」になるかもしれなし、そうならなければ戦後に本当の意味での国家存亡の危機が訪れることになります。この想定は厳しく、判断できません。

韓国の問題は民族主義を貫き過ぎた点だとみています。韓国人を朝鮮民族(韓民族)とするようですが、この朝鮮民族は何者か、といえばこれが歴史的には相当の混血であります。いずれにせよ、その民族と国家を同一枠と考える傾向があるのが韓国と日本とされます。ところが同一民族の純血主義を貫くとどうしても人口問題に突き当たるのです。

問題解決には混血を受け入れるしかないと思いますが、今更混血を広く受け入れるとは思えません。日本も当然ながら同様です。

この辺りが韓国の最大のそして乗り越えられない問題なのだろうと察しております。もちろん、日本も基本的にはこれを追っていると考えてよいのでしょう。韓国の例は極端でありますが、我々の抱える問題を考えるきっかけにはなりそうです。

では今日はこのぐらいで


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年2月24日の記事より転載させていただきました。

会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。