「陸の孤島」である晴海フラッグの利便性を高めるために、臨海地下鉄の建設要望が高まっていると日本経済新聞電子版が伝えています(図表を元記事で見る)。
臨海地下鉄は有明から晴海を通って東京駅につながる路線のようです。確かに、完成すれば公共交通の選択肢が増えるので悪い話ではありません。しかし、地下鉄のような鉄道網へのアクセスが悪いからと言って、陸の孤島と決めつけるのは短絡的だと思います。
記事にも書かれていますが、晴海から新橋を抜けて虎ノ門ヒルズに向かうBRTサービスは既に試験運行が始まっており、新橋から築地にあるトンネルを使うことで、乗車時間を短縮できるようになりました。
道路を走るので鉄道よりはスピード感に劣ります。しかし、臨海地下鉄が建設されたとしても、地下駅は深く、大江戸線以上にアクセスに時間がかかるかもしれません。
また、東京駅が設置されたとしても、京葉線の東京駅のように実質的には隣駅くらいの利便性の悪い立地になる可能性もあります。
であれば、少しスピードが落ちてもBRTの方が利便性が高いのではないでしょうか?BRTを使った晴海から新橋への所要時間が10分程度になれば、地下鉄のホームに降りて電車を待っている間に到着してしまいます。BRTの方が運行頻度を高められますから、利用しやすいのです。
臨海地下鉄の建設費は5000億円かかると試算されていますが、実際にはもっと高額になるでしょう。
であれば、BRTの専用レーンを設置し、運行本数を増やすことで新橋、虎ノ門方面へのアクセスを高める方が、低コストで効果的な対策になると思います。
東京都に要望したいのは、BRTの定時運行を実現して、快適な公共交通機関としての信頼感を高めることです。いつでも便利に利用できるサービスとして認知されれば、地下深くに高い建設費で作るメトロのニーズは消えていくと思います。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年3月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。