サウナとパーソナルトレーニングは「バブル」なのか?

サウナブームが続いています。東京都心部では、あちこちでサウナの開業が続き、今週も青山を歩いていたら写真のような開業予定の看板を目にしました。

サウナと並んで、もう一つ最近増えたと思うのは、トレーニングを行うパーソナルジムです。私も西麻布に通っていますが、プールがあるような大きなスポーツクラブではなく、マンションの一室のような空間で、マシンを使ってマンツーマンで1回60分程度の個人指導を受けるものです。

パーソナルジムも最近では新聞チラシが頻繁に入るようになり、繁華街にも看板をよく見かけます。こちらも開業件数が増えていることを実感します。

ブームによって、急に店舗数が増えるのは、どの業界にもよくあることです。

最近では、パンケーキやタピオカのお店が爆発的に増えました。行列ができる人気店がテレビで紹介されていましたが、今は少し落ち着いているようです。

サウナやパーソナルジムの経営が難しいのは、設備のクオリティや利便性だけではなく、スタッフの接客や技術といったヒューマンスキルに大きく依存していることです。

新しい設備の方が綺麗で最新のものになっていますが、設備が新しくても人気化するとは限りません。

サウナの場合、室温調整や水風呂の温度管理、さらにはアウフグースと呼ばれる熱風をタオルで送るサービスなど、きめ細かい対応が必要です。クオリティが伴わないと、目の肥えたサウナファンからそっぽを向かれ、客層が悪くなって人気が低下してしまいます。

パーソナルジムも同じです。マシンが最新であっても、使いこなせるトレーナーがいなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。

また、利用者のニーズを聞き出し、それに合ったトレーニングメニュをカスタマイズするには、筋肉に対する知識と経験が不可欠です。また、栄養学の知識も必要です。

トレーナーのスキルが低いと、物足りない利用者が他のジムに移っていってしまうのです。

サウナもパーソナルジムもバブルとは思いませんが、今後は市場拡大から安定・淘汰のフェーズに入っていくと思います。ブームが一段落して、にわかファンの人たちが撤退すると予想するからです。

そうなれば、生き残る人気の施設と淘汰されるところに2極化するでしょう。そのカギを握るのは、スタッフの「ソフトパワー」です。

maroke/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年3月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。